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経済
2019年6月27日 18:20

“答え無き宇宙ビジネス”日本はどう挑む?

“答え無き宇宙ビジネス”日本はどう挑む?
(c)NNN

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「宇宙の民間利用どうなる?」。「Space BD」代表の永崎将利氏に聞いた。

NASAは今月7日、ISS(国際宇宙ステーション)を早ければ来年からアメリカの民間企業に開放すると発表した。民間人が滞在し、生産や広告などの企業活動で使用できるという。民間人を乗せての打ち上げは最大で年2回、1回あたり最大30日間まで滞在できるとしている。滞在中の食料や空気などはNASAが提供し、滞在費用は1泊あたり約370万円と試算されている。

ネット上では「宇宙旅行ビジネスを確立するには、価格破壊が必須」「2024年で運用終了見込みだけど、間に合う?」「楽しみは無重力体験と、宇宙からの地球鑑賞?」などの反響があった。


――NASAの今回の試み、民間にとってどのような意味を持つんでしょう。

NASAがビジネスをする場として開放することに大きく舵を切って、そのメッセージが表れたということに関しては、大きなインパクトがあると思っています。


――これに日本企業が関わっていくチャンスは?

もちろんISSは、アメリカが基幹モジュールをつくっていますが、日本にも「きぼう」という実験棟があります。ソフトウエアとハードウエアなど様々な面で、国際的に協調して行われていて、そういう中で、私たちがやっているビジネスもあります。ISSは同じハードウエアですから、当然、日本にも影響があると思います。


――アメリカがどんどん進んでいく、それを日本という立場から見ていて、永崎さんは、どのような意識を持っていますか。

私自身が当事者として、JAXAから「きぼう」という実験棟を使ったビジネスをやっていいという事業者選定を受けています。やはり日本チームとしてどうやっていくか、アメリカがどう出てくるかというのも興味があるし、緊張感もあるというのが実態ですね。

あと、NASAが今回、新しいポリシーを出す上で、いろんなアメリカの会社に「どうやったらISSを使ってビジネスをできるか、アイデアをどんどん出してほしい」というスタディーをやってもらっていました。そのアメリカのある会社が、私たちのパートナー企業のチームに私たちも入っていたので、実はこのポリシーが出てきたときには、私たちもこうやればISSを活用できるんじゃないかとか、という関わりはあったんです。だから、いつ、どんな形で出てくるのかというのが私としては興味があったんです。そして今回、6月7日にこんな形で出たんだなと受け止めています。


――ニュースが出たとき、アメリカの企業しか関われないんじゃないかと思ったんですが、永崎さんは調査の段階から関わっていたと。その永崎さんがこれから宇宙ビジネスを発展させるカギは何だと思いますか。

『やり切る意思』と書きました。これに尽きると思っています。まず、今の宇宙ビジネスの中に、「こうやればもうかるんじゃないか」という答えは、実際にビジネスをやった当事者としても、肌感覚として、実はアメリカ人も含めて誰も持っていないんじゃないかと思っています。どうやったらできるかというのをみんなが英知を出し合って、汗をかきながらやっていると。だから、「できるからやる」とか、ある程度宇宙ビジネスが成り立った時にやるというのでは遅くて、「今からやると決めてやる」という人たちが世界中でうごめいている中で、私たちもやっていかなければならない、それがまた私たちベンチャーとしてのあり方、存在価値なのかと思います。


――今まさに盛り上がろうとしている宇宙ビジネスですが、今後の展開というのはどう考えているのでしょう。

今、私たちのメーンのビジネスが、ISSを使った人工衛星を宇宙に上げたい人たちを、私たちがアレンジして、ISSに飛ばし、そして放出していくと。そのアレンジと、その際に必要となる安全審査など、非常に煩雑な手続きや書類整備があるんです。こういった手間を私たちが引き取るかたちで、今後、提供していくというのがコアビジネスなんです。

この発展系として、今、ISSを使って「できること」「できないこと」があったりしますので、もっと大きなロケットを使って、あるいは、今後、立ち上がってくるベンチャーが安心してロケットをたくさんつくれるように、私たちが世界からお客さんを持ってくる、日本のロケットを担いで営業すると。ISSだけではなくて、日本の大型から小型ロケットまで、私たちが日本チームの営業マンとして売っていくと、こういった姿というものを考えています。


――“日本のロケットを担いで営業する”という言葉にすごいインパクトがあったんですが、それくらいの意思を持って、発信していく気持ちと言うことですよね。

そうですね。それは「道無き道」ではあるので、非常にチャレンジングな、決してそんなにバラ色の世界があるわけではないんですが、そのパイオニアになれるチャンスというのはなかなか出会える機会でもないですし、意気に感じてやっています。


■永崎将利氏プロフィル
「Space BD」代表。商社勤務を経て2017年、宇宙の産業化に向けたあらゆる課題にワンストップで対応できるプラットフォームを目指し、日本初の宇宙商社「Space BD」を設立。去年5月には、設立わずか9か月で、JAXAによる、超小型衛星を宇宙空間に放出するサービス提供事業者に選定された。また、人材開発の面では、宇宙飛行士訓練を活用した教育関連の事業開発にも取り組んでいる。使命は、“宇宙開発の敷居を下げ、多くの人に宇宙を利用してもらうこと”だという。


【the SOCIAL opinionsより】