日銀、4月決定会合の議事要旨を公表 複数のメンバーが円安リスクを「注視すべき」と指摘
日銀は4月の金融政策決定会合の議事要旨を公表し、複数のメンバーから、歴史的な円安の進行が物価上昇率の上振れにつながる可能性があり、注視すべきだとの意見が出されていたことがわかりました。
「企業の行動変化を受けて円安の物価や賃金への影響が一時的なものにとどまらない可能性もある」「賃上げに伴うサービス価格の高まりに加えて、現在伸び率が低下している財価格が底打ちして反転する可能性にも注意を払う必要がある」「円安は基調的な物価上昇率の上振れにつながり得る」「今後、2022年以降に続く第2ラウンドの価格転嫁が生じることがないか、予断なく見極める必要がある」などの意見が出たということです。
その上で、今後の金融政策運営についての議論の中でも、メンバーの複数から「金融政策は為替相場を直接コントロールの対象としていない」との原則が指摘された一方、メンバーの1人からは「為替の変動が企業の中長期の予想インフレ率や企業行動に影響を及ぼす場合には、物価に影響を及ぼすリスクが高まるので、金融政策での対応が必要となる」との意見が出されました。
日銀の植田総裁は、政策の現状維持を決めた4月会合後の会見で、円安について、「現時点では基調的な物価上昇率に大きな影響は与えていないと判断した」と説明していましたが、円安が先行きの物価に及ぼすリスクについては、複数のメンバーが慎重な見方を示していたことが明らかになりました。