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GAFAと個人情報 ルール急務の2020

2020年1月2日 11:57
GAFAと個人情報 ルール急務の2020

あなたは、この記事にどうやってたどり着いただろうか。その道筋は、巨大IT企業にとっては宝の山なのだ。

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巨大IT企業といえば、国内では、ヤフーや楽天などの企業が上げられるが、その巨大IT企業の中でも、「GAFA」と呼ばれる企業が注目されている。

「GAFA」とは、Google、Apple、Facebook、Amazonの4社の頭文字を取ったもので、海外の巨大IT企業の代名詞として使われている。

これらの巨大IT企業の共通点は、世界中の“個人情報”を大量に持っていることだ。

例えば、利用者があるサイトにアクセスしたり、キーワードを入れて検索したりすると、その履歴が“記録”される。

また、事前に住所や電話番号などを登録していれば、その個人情報ともひも付いて、何に興味があるのか、何を買ったのかというような「利用者の行動や考え方」を、巨大IT企業はデータとして蓄積できる。

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蓄積されたデータの一部は、「ターゲティング広告」というマーケティングの手法に用いられている。

「あなたへのオススメはこれ!」と提示された選択肢に、思わず誘導されてしまう人もいるだろう。それは、利用者の閲覧履歴などをもとに分析し、ネット広告やおすすめの紹介リストで、その人にあう「最適な」選択肢を提示しているからだ。

「最適な」選択肢が提示されることは、利用者にとって気になる情報が目の前に表示されるため、改めて情報を探す手間が必要ないなどの便利な面がある。

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一方で、自分の意思に反して、個人情報などが漏えいしているのではないか、という不安の声も上がっている。

実際に、巨大IT企業でも、過去に大規模な個人情報の流出があり、内閣府が調査した結果によると、約6割の人が個人情報の流出に不安を抱いている、という結果も出ている。

個人情報の取り扱いに関する明確なルール作りについては、企業側だけではなく、規制当局である政府にとっても急務となっている。

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そこで日本政府は、GAFA各社の法務担当者らを首相官邸に呼び、ヒアリングを行った。

この場で、Googleは、「利用者のデータの収集や使用方法について、透明性を向上させ、利用者が管理する手段をより多く提供するよう、全力で取り組んでいる」と説明した。

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ベンチャー企業から、いまやインフラ企業に成長した巨大IT企業側である「GAFA」も、利用者の不安を払拭するために対策を考えている。

AppleのCEOティム・クック氏は、日本テレビの取材で「私はプライバシーのない社会を非常に恐れています。今よりももっと一貫性のあるプライバシーに関する規制が必要です」と述べ、日本政府の方向性について一定の理解を示している。

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「GAFA」といっても、各社それぞれ個人情報の扱いについて異なるポリシーを持っていて、そのルールを各社はHPなどに掲載している。

日本政府としても、巨大IT企業を念頭に置いて、個人情報保護法の改正案や取引条件の透明化などを求める法案を、次の通常国会に提出する予定だ。

インターネットサービスの利用者が、自分の個人情報の使われ方に関し、自分の意思をより簡単に反映できるようにするなど、誰もが納得できる仕組みやルールを、技術革新を阻害しない方法で、いかにして構築していくのか。企業や政府は“利用者目線”に立って整備していく必要がある。