「ユニクロ」給料アップ 最大40%…初任給でも30万円 賃上げ加速「日本の賃金安すぎる」
「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは、3月から最大40%の賃上げを行います。また他の大手企業も大幅な賃上げ方針を表明しています。専門家は優秀な人材を確保する狙いを指摘し、「賃金が上がる空気が整ってきた」との見通しを示しました。
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給料について、街の人からはさまざまな声が聞かれました。
61歳 建設業
「60歳を越えたから、20%くらいダウン」
20代 看護師
「全然見合ってない。少なすぎるかな」
社長と従業員の関係だというこちらの2人は。
20代 美容関係従業員
「私的にはもらいすぎてる」
30代 美容関係社長
「言いづらいよね。私が上げる立場だからね」
今すぐにでも聞きたい「給料上げます」の一言。しかし今、聞こえてくるのは、あらゆるものの「値上げ」ばかりです。
家計が追い込まれ続ける中、「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは、大幅な給料アップを表明しました。上げ幅は、なんと最大40%としています。
今年3月から、国内で勤務する正社員を対象に、それぞれ業務成果などを評価し、賃金を引き上げます。あわせて新入社員の初任給についても、現在の25万5000円から、30万円に引き上げることになりました。
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ファーストリテイリングの賃上げについて、街の人からは驚きの声があがりました。
30代卸売業
「うらやましいね」
50代卸売業
「新人で30万円も」
就職活動を控えた20代大学生
「太っ腹だなあ」
「夢があるなあ。ぜひ働きたいです」
20代大学生
「高いところを選びたい」
「私もそうですね」
大手企業では他にも日本生命、サントリーホールディングスなどが大幅な賃上げ方針を表明しています。
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賃上げが加速し始めた背景について、第一生命経済研究所の藤代宏一主任エコノミストは「人手不足が深刻になる中で、優秀な人を採ってくる時に、さすがに今までの安い賃金では立ちゆかなくなった」と述べ、物価高の中、優秀な人材を確保する狙いがあると指摘しました。さらに、欧米との賃金上昇率の差も指摘しました。
第一生命経済研究所 藤代宏一主任エコノミスト
「(欧米諸国は)通常であれば、賃金は毎年2~3%全体として上がる。日本は(全体を)ならしてみると、ずっと0%でほとんど変わらない。10年ぐらい積み重なってくると、30~40%の差になってしまう」
世界の先進国と比べ、給与水準が低い日本になだれ込んできた円安・物価高。藤代氏は「いよいよ『日本の賃金が安すぎるんじゃないか』と経営者と労働者が同時に感じられるようになってきている。『賃金が上がる空気が整ってきた』と感じています」との見通しを示しました。
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街では、最近、賃金が上がったという声も聞かれました。
30代の卸売業の男性
「(1年で)プラス10(万円)いくかな? ぐらい」
日本の働き手の7割を占めるのは、中小企業です。より賃上げを加速させるためにも、大企業には“中小企業との取引のあり方”も問われています。