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暮らしに広がり定着する「シェアリング」

2022年3月19日 12:48
暮らしに広がり定着する「シェアリング」

物を買わず、使うときだけ借り、共有するという考え方が少しずつ浸透しています。そのサービスや対象は広がるばかり。多様な「シェアリングエコノミー」の現状は――。

■無駄遣いを社会で減らす

スマートフォンなどの普及やデジタル化の進展とあいまって、企業や個人の持ち物などの、インターネットを通じた共有が広がっています。いまや共有するのはモノに限りません。

共有=シェアリングが進むことで、家計を助けたり、暮らしの利便性が上がったりするほか、地域や経済の活性化などにもつながると期待されています。

■高齢者向けの移動手段から変化

この乗り物、車いすではなく、「WHILL」というパーソナルモビリティなんです。

もともとは高齢者向けの乗り物でしたが、歩道も走行できることから、最近その使い方が幅広くなっています。

その一つとして挙げられるのが、新たな移動手段としての活用です。2019年から横浜市との事業で、シェアリングサービスが行われています。

使い方は簡単で、直接ステーションと呼ばれる置き場に行って申し込み、使い終わったら指定場所に返すだけです。料金は無料です。

WHILLの広報担当者によると「買い物・観光・移動目的で使われることが多く、免許なしで歩道も通行できることから、幅広い年齢層で利用され始めている」ということです。

日常的に使う人も一定存在していて、長距離は歩けないという人の移動手段として、電車を降りてから目的地までをつなぐ役割でも活躍しているとのこと。

過疎化や、高齢化に伴う免許返納などで、自動車やバイクに代わる移動手段が求められており、こうしたシェアリングサービスへのニーズは地方でも高まる可能性があります。

■スマホの「困った!」に対応

最近駅やコンビニ、飲食店などで、このスタンドを見かけませんか?これは、モバイルバッテリーのシェアリングサービスなんです。外出先でのスマートフォンの充電切れや、充電せずに家を出てきてしまったという問題を解決してくれます。

モバイルバッテリーシェアリングサービスは、すでに中国では定着していて、日本では2018年から展開。このサービスで90%のシェアを占める「ChargeSPOT」を展開する「INFORICH」は、全国に3万か所のスポットを設置していて、専用アプリで決済することでレンタルできます。

料金は最初の30分未満165円から。スマートフォンの利用時間は着実に伸びていることから、利用数は増えているそうです。

広報担当者によると、「シェアリングに抵抗を感じなくなってきた社会がある」「今後も自然と需要が高まっていくだろう」と期待を寄せています。

■身軽に出かけ、その先で借りる

子育てをしやすい環境づくりを目指して、ベビー用品レンタル・販売サービスを行う会社が、鉄道会社と協力しベビーカーのシェアリングサービスを始めています。

歩くには遠い場所に行くのだけれど、「ベビーカーを電車に持ちこんで乗るのは大変」「車内に持ちこむと他の乗客に迷惑をかけてしまう」といった問題に対応する取り組みです。

ベビーカーを持たずに外出することで、荷物を軽減したり、抱っこ紐だけで子供を連れて電車などに乗り、身軽に外出できることを目指しています。

このサービスを提供するベビー用品レンタル・販売会社「Babydoor」は、小田急線の主要3駅にベビーカー計11台を展開しています。専用アプリを使って、無人ボックスからベビーカーを取り出し、使ったあとはどこのボックスにも返せます。

利用料金は最初の1時間220円から。決済方法もクレジットカードなので、手間がかかることはありません。

子供が利用するベビーカーなので、衛生面は大丈夫?という心配についても、これまでレンタル用品を扱ってきた清掃ノウハウを活かして、定期清掃や除菌などを徹底しているとのこと。

今後は鉄道会社にとどまらず、商業施設や町なかにも設置することも構想しているそうです。

子育てをしやすい街づくりに繋がるのはもちろん、自治体は周辺地域から人を誘導し、ベビーカーを押しながら回遊する人が増えることで、地域活性化も念頭においているということです。

■モノを持たずにシェアする

進化し続けるシェアリングサービス。必要な時に借りるという意識が着実に広がっています。

社会全体のSDGs(=持続可能な開発目標)の浸透や脱炭素化の進展がその背景と考えられます。一方で、スマートフォンやインターネットを使いこなすことが必須ということが課題です。そうしたハードルを下げることが出来れば、シェアリングエコノミーはさらなる成長が見込まれます。