半世紀の歴史に幕 紙製「ブックマッチ」生産終了へ
懐かしの品がまた一つ消えることになります。喫茶店などに置かれていた「ブックマッチ」です。6月をもって、生産終了になるといいます。その背景にあったのは、喫煙人口の減少です。
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二つ折りにたたんだ厚紙に挟まれた紙製のマッチ。厚紙に挟んで火をつけるタイプで「ブックマッチ」と呼ばれています。街でその存在を知っているか聞きました。
ブックマッチを知らない(20代)
「見たことないです。こうやって開くの?」
ブックマッチ世代(70代)
「ずいぶん前に、50年くらい前に私たばこ吸ってたから使っていました。懐かしい感じ」
最近はめったに見なくなったブックマッチ。いま、その火が消えようとしています。
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兵庫県姫路市にある、創業およそ100年のマッチ製造会社「日東社」は、約49年前からブックマッチを製造しています。
日東社 第一工場長 小林賢司さん
「こちらがブックマッチを作っている機械になります。(稼働は)2か月に1回程度になっています」
ブックマッチの製造機械は、ほとんど稼働することがなくなったといいます。6月の受注分を最後に、ブックマッチの生産を終了することにしたのです。
マッチは、主に企業や喫茶店が社名などを箱に印刷した広告用として、戦後、広まりました。そして、高度成長期の1956年にブックマッチが登場。マッチはたばこだけではなく、ガスコンロやストーブをつけるのに必需品となったのです。
しかし、1976年ごろ100円ライターが登場し、マッチの存在が一変しました。需要は徐々に減り、現在の国内のマッチ全体の生産量は、最盛期だった1973年ごろの100分の1まで減少したといいます。
国内唯一のブックマッチの製造工場でも生産終了を決断しました。その背景にあったのは、喫煙人口の減少です。
小林さん
「(ブックマッチは店などの)広告がメインでしたので、喫煙人口が少なくなったことによって、広告の価値が低くなってしまったことが大きな要因となっています」
たばこが吸える飲食店などが少なくなるにつれて、ブックマッチの需要も減少。最盛期だった40年前には年間5億個生産されていましたが、現在はわずか100万個に落ち込んだといいます。
小林さん
「(生産終了を受けて)さみしいっていう声もいただきますので、本当に生活の中で浸透していたものなんだなと」
今後も、他のマッチの生産は続けていくということです。
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東京・新橋にある喫茶店「喫茶 フジ」では、店名が印刷されたマッチを提供しています。
喫茶フジ店員 鬼澤陽子さん
「うちの30年以上前からのマッチです。(利用者は)少ないですね。たばこ吸う方はライターを持っていますので」
ブックマッチの生産終了について喫煙者は――
喫煙する客(30代)
「確かにちょっとつけにくいイメージがあったので。ただ懐かしい感じはするので、ちょっと寂しい気持ちもありますけど」
また一つ、懐かしの商品が消えていきます。