秋の味覚に異変? サンマ今年も“不漁”の見通し…栗やカボチャも台風で大きな打撃
これから旬を迎える秋の味覚がピンチです。サンマは去年に続き不漁の見通しで、初水揚げされた北海道の根室のサンマは、最高値が1キロ23万円と去年の約4倍でした。さらに、台風の影響で、秋のスイーツに欠かせない栗などにも影響がでていました。
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香ばしい匂いが食欲をそそるサンマ。これからがシーズンの秋のご馳走のひとつですが…
根室食堂 平山徳治代表
「今年も…あんまり期待できないかな。例年よりも倍くらいの値段になるんじゃないか」
サイズは小さいのに仕入れ値は上がる見通しです。東京・港区の根室食堂では、現在は去年の冷凍を使用していて、一刻も早く獲れたてのサンマを店に出したいといいます。しかし――
根室食堂 平山徳治代表
「今年はサンマ定食を出せないのかなと心配になりますね。どうなっちゃうんだろうな」
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その仕入れ先、北海道では21日、根室のサンマが初水揚げされていました。最高値は1キロ23万円と去年の約4倍。競り落とした札幌市のスーパー「キテネ食品館」では、1匹税込み5378円で販売していました。初競りのプレミア価格とはいえ、目を疑う値段です。
都内のスーパーでこの値段について聞いてみると、思わぬ高値に驚きを隠せない様子でした。
主婦(20代)
「えーっ! 高い。5000円は買わないです」
主婦(60代)
「高いけど、国産だったら意外と買っている。でも5000円はちょっと無理よ~」
取材したスーパーでは、値段が高すぎて国産サンマを仕入れられず、店に並んでいたのは台湾産のサンマでした。
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かつての庶民の魚は、今や高級魚になっていました。その原因は、記録的な不漁です。
全国さんま棒受網漁業協同組合によると、サンマの水揚げ量は去年までの4年連続で過去最低を更新。水産庁によると、今年も去年と同様に不漁の見通しだといいます。サンマが日本近海に来なくなり、漁場が遠くなったことから、燃料代などのコストも高くなっているというのです。
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ほかにも旬を迎える前にピンチを迎えていたのが、秋のスイーツに欠かせない栗です。
丹波くり生産者 藤原孝一さん
「悲しいですね。もう、これだけ落ちると」
特産の「丹波くり」が大きく実っていましたが、収穫間近のタイミングで台風7号が直撃。強風にあおられ、取材した農園では約5割の栗が落下したのです。
丹波くり生産者 藤原孝一さん
「今年はなっている状態から見ると豊作だったので、ごっついショック。今後、また台風がいつくるかわからないので心配しています」
廃棄せざるをえなくなった栗が、山積みになっていました。
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秋の味覚に大きな打撃を与えた台風。野菜にも影響が出ています。
ベニースーパー 赤津友弥本部長
「台風の影響で大雨が降って農地が流されてしまいましたので、この夏、カボチャが九州から入りませんでした」
佐賀県の契約農家からカボチャを仕入れているベニースーパーでは、台風の影響で入荷しなかったため、急きょ、仕入れ先の変更を迫られたということです。
秋に旬を迎える味覚。今年の食欲の秋は、寂しい食卓になるかもしれません。