働き手が足りない! ホテルが時給50%アップも… 人材確保にあの手この手
ショッピングに旅行に飲み会と、街ににぎわいが戻った一方、様々な業界で深刻な働き手不足が続いています。働き手が重視するのは、やはりお給料。大幅に時給を上げるのはもちろん、プラスアルファの魅力で人材を確保しようとする動きもでてきています。
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あるアパレル店の店長から、アルバイトの大学生に1通のメッセージが届きました。
店長のメッセージ
「結論、少しでも出勤協力いただけないかの連絡になります。人が不足しており、運営がギリギリで立て直しができない状況です」
人手不足のため、働ける日の確認を急いでいた店長からのメッセージでした。受け取ったアルバイトの大学生は「こっちも学校あるので。出勤できない立場なので、そこは難しい。(人は)足りてるといえば足りてるけど、まわってるかといわれたら怪しい感じ」と話しました。
“日常”が戻るにつれ、様々な業界で「人手不足問題」が広がっています。
医療関係(20代)
「増えたと思ったら減っちゃう」
「定着しないです」
「給料上げてほしい。『給料上げてくれないと辞めるぞ!』って感じ」
働き手が重視するのは、やはりお給料です。時給も上がってきています。
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東京・銀座にあるしゃぶしゃぶ店のお昼時、従業員は厨房と客席を行ったり来たり多忙を極めていました。こちらの店では“会食需要”が回復するなか、アルバイトの募集をかけたものの、思うように集まらなかったといいます。
そこで、店がとった策は“時給アップ”でした。
mihaku 中嶋一生代表
「なかなか採用ができなくなってきて、ついこの間(時給を)1700円まで上げました」
これまでは時給1300円ほどでしたが、先月一気に1700円まで上げたということです。さらに英語ができる人材には時給の“上乗せ”も実施。その結果、希望する人数は集まったといいます。しかし、中嶋代表は「『人手不足だから時給が上がっている』から『価値ある仕事だから時給が高い』に変えていかないといけない」と感じているということです。
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北海道のリゾートも、人手不足にあえいでいました。“ニセコ”で知られる倶知安(くっちゃん)町でホテルを管理・運営する会社を訪ねました。
HTM グループジェネラルマネージャー グレッグ・ターナーさん
「(通常は)8~9月から応募を始めますが、新聞の折り込みの広告などは今月(5月)から出し始めましたね。今回ちょっと早めに動いた方がいいんじゃないかなと思ってます」
“かき入れ時”の冬に働くスタッフを確保するため、例年よりも早く5月から募集を始めたといいます。人材確保の難しさを感じているため、この会社も時給をアップしました。
HTM グループジェネラルマネージャー グレッグ・ターナーさん
「次の冬は(時給)1800円から。思いっきり時給レートを上げたことをアピールしたい」
ベッドメーキングなどを担当する場合の時給は、例年の1200円から1800円と50%アップ。海外から訪れる客がコロナ前の水準に戻ることを見越し、“これまでにない高い時給”を提示したといいます。
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一方、お給料プラスアルファの魅力で採用を進めるのは“男性だらけ”のイメージがあるタクシー業界です。
大和自動車交通 江東 岡本美雪さん
「こちらが今年1月に改装された女性専用スペースになっていて、更衣室も以前より広くなって居心地のいいスペースになっています」
女性が働きやすい環境を整え、女性用の更衣室や仮眠室などをリニューアルしました。新型コロナの影響により減ってしまった乗務員の穴を埋めるべく、「若手」と「女性」の採用に乗り出しているのです。
大和自動車交通 採用企画部 中澤貴丈部長
「女性のお客さまが乗車されたときに、『女性の運転手で良かった』と言われることはかなりある」
新卒の初任給を20万円から25万円に引き上げた上で、子どもがいるママでも働ける短時間のシフトを用意するなど、働き手の間口を広げているということです。