エネルギー基本計画公表 達成に向け課題も
国のエネルギー政策を見直す「エネルギー基本計画」の原案が21日、公表されました。脱炭素に向けて高い目標を示した一方、その達成に向けては様々な課題も残っています。
政府は2030年度に温室効果ガスを2013年度に比べて46パーセント削減する高い目標を掲げています。その達成のために原案では、排出量が多く、海外から批判が集まっていた火力発電について、「出来る限り電源構成に占める割合を引き下げる」としました。現在のおよそ8割から2030年度には4割程度にまで減らす方針です。
一方、二酸化炭素を出さないエネルギーの割合は大幅に増やします。再生可能エネルギーについては、「主力電源」と位置づけ、「最大限の導入に取り組む」と明記しました。現在の18パーセントから、2030年度には発電量の36~38パーセントにまで導入を拡大する方針です。達成のためには、短期的に増やすことのできる太陽光発電がカギとされています。
しかし、土砂災害や景観を損なうことを懸念して、設置場所の規制を設ける自治体が増えるなど、課題もあがっています。また、同じように二酸化炭素を排出しない原子力発電は、現在の6パーセント程度から、2030年度には20~22パーセントまで導入する今の方針を維持しました。
しかし、達成のためには、全国の電力会社が稼働を申請している原発27基のほぼすべての再稼働が必要だとされています。さらに、2050年度に二酸化炭素の排出量を実質ゼロとする政府の目標を達成するためには原発を増設することや立て替えることが必要となりますが、そうした原発の将来像について今回は明記されませんでした。
また、政府の目標が達成された場合電力のコストは、現在の1キロワットアワーあたり8円程度から2030年度には10円程度まで引き上げなければならないとの試算もあり、電気料金が上がることも予想されています。政府は今後議論を重ねて秋をめどに最終案について閣議決定を行う見通しです。