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行動制限緩和うまくいく?分科会関係者らは

2021年9月25日 14:53
行動制限緩和うまくいく?分科会関係者らは

およそ2か月半に及んだ4度目の緊急事態宣言だが、おおむね9月末に解除される見通しとなった。今後、焦点となるのは“行動制限の緩和”だ。政府は感染抑制と経済活動のバランスをうまく両立させることができるのか?新政権が取り組むべき課題とは?政府分科会の関係者らに話を聞いた。


■行動制限緩和はどうあるべきか

政府は11月にも新型コロナウイルスの感染対策としての行動制限を緩和することを検討している。具体的には飲食店の営業時間制限の延長や酒類の提供を認めること、大規模イベントの人数制限の緩和などが考えられている。

この政府の方針に、政府の分科会関係者からは様々な声が聞かれる。「11月にここまで緩和するのはまだ早い。もう少し慎重になるべきだ」と否定的な意見がある一方、「とりあえず段階的に緩和をしていくべきだ。感染状況が厳しくなる兆しがあれば、すぐにまた制限すればいい」と、前向きな受け止めも。

ある分科会関係者は「国民の半数以上がワクチン接種を完了し、医療提供体制も改善しつつある今、もう大胆な政策を実行するべき時に来ている」と話し、政府や自治体が状況に応じて柔軟かつ迅速に方針転換できる態勢を整えた上で“トライアンドエラー”で対策を進めるべきだとしている。


■菅政権のコロナ対策「反省」は

新型コロナ対策の真っただ中に、退陣の意向を表明した菅総理大臣。就任以来、「最優先の課題は新型コロナ対策」と繰り返し述べてきた。

そんな菅政権の新型コロナ対策をどう総括するか。ある分科会関係者は“硬直的だった”と話す。

 「いつも目先の経済活動に気を取られていた。そのせいで、感染が急拡大した場面でも、緊急事態宣言の発出が遅れるなど感染対策を強める動きがいつも一歩遅かった」

目先の経済活動を優先することで人流が増え、感染が拡大し、結果的に経済を傷めることになってしまったと指摘する。

また、去年のGoToキャンペーンについても政府の対応は甘かったと振り返る。菅総理は“GoToトラベルが感染を拡大させたエビデンスはまだない”としてキャンペーンの中止にすぐには踏み切らなかった。しかし、専門家は「エビデンスを待っていては危機管理は間に合わない」とし、もっと感染症の専門家らとコミュニケーションを密にとり、早く意見を聞き入れるべきだったと述懐する。


■新政権のコロナ対策、要は”迅速性”

現政権での反省すべき点を次の政権でどう活かすのか。分科会関係者はやはり“機動的な対応”を求める。

 「医療提供体制の逼迫もだいぶ解消された今、医療と経済のバランスを考え直すべきだ。アクセルとブレーキをうまく踏み分け対応することが、今後の経済の回復に向けても重要なポイントとなるだろう」

その上で、感染対策と経済活動のそれぞれに特化した分科会など、議論する場を設けるべきだと指摘する。

また、医療提供体制の現状についてもっとつまびらかに説明すべきだという意見もある。医療の逼迫が叫ばれる一方、補助金を受け取りながらコロナ対応を十分に行っていない医療施設があることも事実だ。

どうすれば効率的に医療提供体制を整えられるのか、政府はもっと議論の場を持って国民に明らかにしながら対応すべきだとする専門家もいる。

■感染減の今こそ求められることは

このところ新規感染者は全国的に減少傾向だが、専門家らはこの状況に首をひねる。

 「人流のわりに、どうして急に感染者が減ったのか、今後どうなるのか見通しがたたないのが現時点での見解」

感染状況が落ち着きつつある今、しっかりとした分析と総括を行い、迅速に次の手を打たないことには今までのような感染の再拡大は避けられない。

退陣の意向を表明した日、菅総理は「新型コロナ対策に専念したい」と話した。その言葉通り、10月4日に発足する新政権への移行期間も、対策に穴をあけることは許されない。

新政権が実施する行動規制緩和においても同様だ。切れ目のない対応を果たすことが求められる。