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岸田政権発足後初の税制改正 どう変わる?

2021年12月9日 12:25
岸田政権発足後初の税制改正 どう変わる?

来年度の税制改正がまとまりました。岸田政権発足後、初めてとなる税制改正、私たちの暮らしはどう変わるのでしょうか?(霞ヶ関キャップ・財務省担当 鈴木あづさ)

今回の税制改正のキーワードは「賃上げ」です。岸田政権がめざす「成長と分配の好循環」に向けて賃上げに積極的な企業を支援する「賃上げ税制」の強化が焦点となりました。また、私たちの暮らしに身近な「住宅ローン減税」や、新型コロナで打撃を受けた企業を支援する優遇策なども話し合われました。

■賃上げ税制

大企業や中堅企業では、ボーナスなどの一時金を含め、継続して雇用している従業員の給与の総額を前年度比で4%増やした場合、控除率を25%とし、さらに従業員の教育訓練費を前年度比で20%以上増やすと、5%上乗せして最大30%とします。

中小企業では、すべての従業員の給与の総額を2.5%増やした場合に控除率が30%となり、教育訓練費を10%以上増やすと控除率が10%上乗せされ、最大40%とします。現在の控除率は大企業は最大20%、中小企業は25%となっています。

一方、法人税を払えない赤字企業には効果がないため、賃上げする赤字企業を対象に、中小企業向けの補助金に特別枠をつくることも検討しています。

■住宅ローン減税

住宅ローン減税は、年末のローン借り入れ残高の1%の金額が、所得税や住民税から最大10年間控除される仕組みです。

政府・与党は現在1%としている控除率を0.7%に引き下げ、控除を受けられる期間を今の10年間から、新築住宅で13年間に延長します。中古住宅は10年間で据え置きます。今年の年末までとなっている期限は4年間延長します。控除の対象となるローン残高の上限は住宅の環境性能に応じて、5000万円4500万円4000万円の3段階に分け、その他の環境性能が基準に達していない住宅の上限を3000万円とします。

さらに、減税を受けられる所得の制限も現在の3000万円以下から2000万円以下に引き下げます。控除期間を13年間に延ばすのは、中低所得者層が控除を受けられる総額を増やすためで、控除率の引き下げによる住宅市場の冷え込みを防ぐねらいです。

■新型コロナ関連

(1)中小企業が使う交際費の特例措置を2年延長
特例措置は、中小企業が使った交際費のうち、800万円を上限に経費として「損金」に参入でき、税負担を抑えられる仕組みです。特例措置は今年度末が期限となっていましたが、2年間延長します。コロナ禍で苦境に陥った飲食店を下支えするため、企業による消費を促進するねらいです。

(2)「航空機燃料税」
「航空機燃料税」は国内線で使う航空機の燃料にかかるものです。今年4月から新型コロナウイルスの影響で業績が悪化した航空会社を下支えするため、1キロリットルあたり9000円と前の年度の半額に抑えられていますが、来年度は1万3000円に引き上げます。現在の燃料高に加えて、「オミクロン株」でさらなる打撃が予想されるため、2022年度末までの一年間措置を延長し、引き上げ額も小幅に抑えたかたちです。

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