【解説】新米“価格の基準額”引き上げへ 店頭価格や品薄への影響は?
これから収穫が本格化する新米の価格の基準となる金額が、主要産地で2割から4割の引き上げとなることがわかりました。 経済部・農水省担当の新倉久美子記者が解説します。
森圭介キャスター
「品薄のお米の値段、『今でもすでに高い!』と感じている方がたくさんいると思いますが、今後、新米が出回っても、価格は高いままなのか、あるいはちょっと高くなってしまうということですか?」
経済部・農林水産省担当 新倉久美子記者
「全国各地のJAグループが、農家からコメを買い取る際の目安とされる価格が、主要産地で去年に比べて2割から4割上がっています。引き上げた理由としては、肥料や燃料代など、他の食品同様に生産コストの上昇です」
森キャスター
「この値上がりは、品薄とは関係ないと考えていいですか?」
新倉記者
「そうなんです。ただ、今の店頭での品薄にも対応する必要があるということで、例えば北海道のJAグループでは、農家に『早めに出荷をお願いします』と促し、それに応じて9月末までに出荷した場合は、1俵、つまり60キロあたり3000円を上乗せすることになりました」
「引き合いの強い今年は、生産コストの反映だけでなく、他の卸売業者などに買い負けないための金額の上乗せも広がるとみられ、店頭価格に影響してくる見込みです」
■品薄状態の解消は?
森キャスター
「ただ、ここまでの品薄はやはり『地震や台風への備えを』と、消費者が買い込んでしまった面もあるのでしょうか?」
新倉記者
「というのもありますが、実は去年からの流れもあるんです。高温と雨が少なかった影響で、食用米の流通量が例年より少なく、民間在庫量は統計を取り始めて以降、最少となりました。その影響で、ドラッグストアやディスカウントストアで主に売られている低価格のコメがまず手に入りにくくなり、そこで買っていた消費者が他のスーパーなどで購入し、品薄感が波及し、消費者の買いだめが広がったともいわれています」
森キャスター
「となると、米は今年も高いままと考えた方がいいんですか?」
新倉記者
「農水省は、出回る新米の量が増えれば、10月頃にはむしろ購入する人が少なくなって、米が余り気味になり、店頭の新米に関しても価格が下がる可能性もあるとみていますが、消費の波は予想が難しく、明言はできないとしています。ただ、一つ言えることは、今回消費者の行動が、品薄や価格つり上げに繋がってしまったということで、今後も冷静な行動が求められます」