停滞するまちづくり事業…計画完成までにかかった費用は約4000万円 どうなる?外旭川地区
新たなスタジアムの建設方針や外旭川地区でのまちづくり事業の見通しについて議論が行われた定例の秋田市議会が、8日、閉会しました。
新たなスタジアムの建設方針は今後進展していく見通しが示されたものの、まちづくり事業については、計画の見直しも議論も停滞。
事業を進めるうえで重要な役割を担う県側は、計画が「一旦休止の状況」にあるとの見解を示しました。
停滞している今の計画を完成させるまでにかかった費用をまとめたところ、その総額は、約4000万円にのぼることが分かりました。
先週、3泊4日の日程で台湾に出張していた、秋田市の穂積市長。
市が2017年から本格的な交流を始め、自身の母親の母校もあるという、台湾南部の都市・台南市を5年ぶりに訪れ、友好関係をさらに深めることを地元の市長と確認しました。
奇しくも交流が始まった年と同じ2017年に、建設を望む機運が一気に高まったのが、新たなスタジアムです。
今回の定例議会では、八橋地区が建設場所として確実になったほか、2030年の予定だった建設開始の時期を1年以上前倒しすることを目指す方針が示されました。
一方、今回の議会の中で大きな進展がみられず、紆余曲折のまっただ中にあるのが、外旭川地区のまちづくり事業。
現在4期目の穂積市長が公約に掲げている事業ですが、計画はピタリと止まり、停滞しています。
穂積市長は、まちづくり事業とスタジアム建設を一体的に進めて、地域や経済を活性化させるねらいでしたが、戦略は、練り直しせざるを得ない状況です。
「やはり今までの…にぎわいを一層…その…『相乗効果』でね、にぎわいを創出できるというところに期待をしておりましたので、そういったものがあり得るのか。今のところは、イオンさんからは、あくまで秋田市のまちづくりには貢献したいという回答をいただいてますので……それでもって、今後も詰めていきたい」
当初、新たなスタジアムの建設候補地を外旭川地区としたのには、市長の思惑が背景にあるのではないかとの持論を披露したのは、佐竹知事。
佐竹知事
「市の…市長の頭には、『まずは外旭川』、あの構想、あれをですね、正当化するという、そういう目的でね。あそこにサッカー場を持っていきますと、相当ね(まちづくり事業の)妥当性が出ます」
仮に秋田市が新たな事業計画を立てたとしても、県がその計画に同意しなければ、事業は前に進みませんが、県側は、消極的です。
知事
「今のプランは、まずは一旦休止という状況だと思います。いずれ最終的にあれを白紙にしてどいうふうに作っていくか、完全にやめるかどうか。これは少し時間がかかるんじゃないか。そう思います」
県側から理解を得るため、これまで作った事業計画の見直しを進めている秋田市ですが、これまでに議論の時間だけでなく、一定の公費も投じられています。
秋田市は、計画を共同でつくる民間事業者を選ぶ作業を2021年度に始め、昨年度・2023年度までの間で、計画の具体化を進めました。
市が公表している決算に関する資料や、情報公開請求で開示された資料をもとにまとめたところ、市がこの間に使った額は、合わせて3994万7000円でした。
その費用の内訳です。
8割以上にあたる3329万円あまりは、外部への業務委託料で、市と共同で計画の具体化を進めた事業パートナーのイオンタウンに、1837万円、計画への助言を求めた調査機関・日本経済研究所に、1492万円が支払われています。
そのほかは、計画をつくるために意見を募った学識経験者や学生などへの謝礼や、事務用品の購入、事業計画策定に関わる職員の県外への出張にかかった旅費が含まれています。
市は今年度も、まちづくり事業に関連する予算、968万円あまりを盛り込みました。
地域活性化に詳しい外部の専門家を新たに招き、計画の見直しを進めるための費用が中心です。
穂積市長
「今後の市政運営に対する議員各位のなお一層のご理解とご協力をお願い申し上げ、閉会にあたっての挨拶といたします」
先月から始まった定例の市議会は、8日が最終日でした。
閉会後に報道機関の取材に応じることもある穂積市長ですが、8日は取材に応じず、午後からの公務などに備え、閉会後、すみやかに議場を後にしました。
市の秘書課は、市長が取材に応じない理由について、「コメントをしたとしても、今回の定例議会の中で話をした内容と変わりはないため」と説明しました。