×

飲食店で深刻化する人手不足「しばらくの間、臨時休業」も… 人が集まらないワケ

2023年1月31日 21:48
飲食店で深刻化する人手不足「しばらくの間、臨時休業」も… 人が集まらないワケ

今、飲食店の人手不足が深刻化しています。ある調査によると、飲食店の7割以上が非正規社員の人手不足を訴えているという結果も…。こうした中、都内の飲食店では、ロボットが人の代わりに調理を行っていました。“猫の手”ならぬ“ロボットの手も借りたい“ほど人手不足の危機に直面する飲食店を取材しました。

     ◇

今、飲食店に異変が起きています。東京・豊島区の飲食店には1枚の紙が貼られていました。そこには“人員不足のため、しばらくの間、臨時休業する”と書かれていました。人がいないため営業ができず、店は休業していました。

さらに街を歩くと、アルバイトを緊急募集したり、人手不足で開店時間を遅らせたりする店もありました。実は今、飲食店の人手不足が相次いでいるのです。

     ◇

東京・文京区にある「拉麺五瞭」は、牛骨のスープで作ったラーメンを売りにしています。この店では2022年夏ごろから、求人をかけても応募する人が来ないといいます。

拉麺五瞭 加藤聡明店主
「年中無休で営業していたんですけど、もう定休日を作らないと、どうしようもなくなって。あと営業時間を短縮させていただいて…」

さらに1人で切り盛りしているため、心配事もあるといいます。

拉麺五瞭 加藤聡明店主
「『あそこ、提供が遅いから行くのやめようかな』と。負のサイクルで、売り上げが低下している」

     ◇

東京・豊島区のイタリアンレストラン「パスタ エ ヴィーノ・ケイ」でも、人手不足が発生しています。

パスタ エ ヴィーノ・ケイ 岩井圭店主
「全然、募集しても来なかったです。数か月、来なくて、どうしていいのかと非常に途方に暮れていました」

2022年の夏ごろまでは「賄い付き」の条件で募集しても、応募がない日が続いていたといいます。また人手不足のため、臨時休業することもありました。最近は大学生のアルバイトが入り、何とか営業することができているといいますが、オーナーシェフは不安を訴えました。

パスタ エ ヴィーノ・ケイ 岩井圭店主
「3月くらいで(アルバイトの)大学生がやめてしまうので、(また)1人でやらなくてはいけないことが続く可能性があるなというのは不安です」

     ◇

深刻化する飲食店の人手不足。帝国データバンクが調査した2022年の「非正規社員の人手不足の割合」によると、全国にある飲食店の76.3%が「非正規社員の人手が足りていない」といい、その数は年々増えています。

飲食店に何が起きているのでしょうか。東京・町田市にある人材派遣会社「アイスタッフ」を取材しました。

飲食店から人材派遣の依頼の電話が入ると、「今、人材が足りていないということで、すぐに欲しいという状況でしょうか」と状況を確認する場面もありました。

アイスタッフ 狩野公明さん
「(問い合わせ)今までは月に2~3件あればよかったんですが、今は1日に1~2件。今まででは考えられない件数で増えています」

今、人手不足の飲食店から、依頼が急増しているといいます。アイスタッフの狩野公明さんは人手不足の背景について、「『また(新型)コロナが広がったら、また店を閉めざるを得ないんじゃないか。その時に自分たちの仕事がなくなってしまうんじゃないか』と今後の不安があるから、業種を変える人も多い」と説明しました。

コロナ禍で、飲食店は休業要請が出されるなどの影響を受けていました。今後も休業した場合、働けなくなることを恐れて、応募する人が少なくなっているといいます。

     ◇

この苦境に、東京・千代田区にあるパスタ店「エビノスパゲッティ 丸ビル店」がとった対策は…人の代わりに調理をしてくれる「ロボット」です。

麺をゆでるところからソースにあえるところまで、全て自動で調理しています。その事実を知ったお客さんは「へー、あの方…あの機械(ロボット)が! でも、すごくおいしいんですよ」と感心していました。

プロ顔負けの味を再現できるだけではなく、1品1分ほどで調理が可能なため、1台で1人~2人分の働きをするといいます。

エビノスパゲッティ 丸ビル店 馬男木詩織さん
「飲食業界の人手不足などの課題を解決しながら、それが全国に広がっていけばと思います」

飲食業界では、“猫の手”ならぬ“ロボットの手も借りたい”ほど人手不足の危機に直面しています。今後、ロボットによって人手不足が解消する日は来るのでしょうか。

24時間ライブ配信中
日テレNEWS24 24時間ライブ配信中
logo

24時間ライブ配信中