漁獲量減少のウナギに“救世主”? “人工生産”の研究開発進む 課題は…
貴重な天然ウナギだけでなく、養殖に欠かせないシラスウナギの不漁が続いているため、ウナギの価格は高止まり状態が続いています。その状況に救いの手が現れるのか、“人工生産”の研究開発が鹿児島県で進んでいます。
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東京都内の老舗ウナギ料理店が創業以来つぎ足してきた秘伝のタレをまとわせ、繊細に焼き上げた看板商品の「うな重」、味は格別ですが、財布にはちょっと厳しいお値段です。(共水うな重(大)7920円)
この店では今年4月、10年ぶりに「うな重」の価格を上げました。その理由はもちろん、仕入価格の高騰です。
大塚うなぎ 宮川 八馬誠代表取締役
「仕入れ値自体が高止まりという状況が続いていると」
貴重な天然ウナギだけでなく、養殖に欠かせないシラスウナギの不漁が続いているため、価格は高止まり状態なのです。
大塚うなぎ 宮川 八馬誠代表取締役
「極端に(価格が)下がっていくようなことはないんじゃないかと思っています」
しかし、ウナギの生産に救いの手が現れるかもしれません。将来的に安定供給されるかもしれないのです。
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今月12日、養殖が盛んな鹿児島県でウナギの試食会が行われました。
参加者
「身もしっかりしてますね」
「全然臭くない」
「めっちゃおいしい!」
一同が絶賛したそのウナギ、実は…
参加者
「これが“人工”のウナギ?」
人工的に生産されたウナギでした。
シラスウナギを安定的に確保するべく、鹿児島を拠点とする企業「新日本科学」が、2014年から約8億円を投じシラスウナギの人工生産に取り組んでいます。ウナギから採取した卵をふ化させ、幼体からシラスウナギ、成魚へと人工的な環境のもと育てる手法です。
新日本科学 松本敏常務執行役員
「もっと簡単に(人工生産が)できるのかなと、正直思っていた面があったんですけど、まぁやってみると本当によくわからない生き物だなと。エサを改良していくことでウナギの生存率を高めていくような」
ウナギの幼体をシラスウナギまでに育てる過程が難しいといいますが、エサなどの工夫により、2017年には世界初となる人工海水を使ったシラスウナギの生産に成功しました。
しかし、現在の生存率は10%未満で、大きく育つのは年間1000匹程度が限界だといいます。このうなぎによる“うな重”は、まだまだお高いとのことです。
――試食会で出されたうな重は1個いくら?
新日本科学 永田良一会長兼社長
「(一般的なうな重の)1万倍ぐらいするでしょうね」
今後の生産目標は年間10万匹。人工生産のシラスウナギが安定供給されれば、ウナギが安く食べられる日が来るかもしれません。