桜の季節で春の行楽期待も…原油高が“直撃”
今週のガソリンの平均小売価格が発表され、10週連続の値上がりとなりました。東京では来週、桜が開花する予想となる中、観光バスや箱根の海賊船クルーズなど、春の行楽への影響を取材しました。
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東京駅の目の前を走る、真っ赤な観光バス。天井はオープンになっていて、春風を感じることができます。
これからの時期の見どころは、バスから眺める桜です。
バスガイド
「こちらが河津桜と申します」
今はまだ咲いていないソメイヨシノですが、例年3月下旬になると、両脇に、咲き誇った桜がみられます。
東京の桜の開花予想は3月23日です。来週からは「お花見コース」がスタートし、皇居周辺の桜並木など春を満喫することができます。
バス利用客
「楽しかった。気持ちよかったです」
東京などで、まん延防止等重点措置が解除される見通しの中、迎える春の行楽シーズン。しかし、大きな問題があります。
スカイバスを運行 日の丸自動車興業 都市観光部 チェヨンジンさん
「原油が上がってから、いろんなものが値上がりする中で、バス自体には軽油を使っているんですけど、単価は上がっていて」
ロシアによるウクライナ侵攻を背景にした原油価格の高騰の影響で、ガソリン価格の上昇が続いていて、全国のレギュラーガソリンの平均価格は1リットルあたり175円20銭と、約13年半ぶりの高値となりました。
バスの燃料である軽油も値上がりが続いているのです。
チェヨンジンさんは、「(コロナ禍で)乗車するお客様の数が結構減りましたので、呼び戻すため、いったんは今の現状の価格を維持しつつ」と話します。
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原油高の影響は、日本有数の観光地にも出ています。
神奈川県の箱根には、芦ノ湖を巡る人気の海賊船クルーズがあります。
箱根観光船 運航部 渡部崇さん
「これからだんだん緑が濃くなってくるので、季節が楽しみですね」
コロナ禍で客足が伸びず、減便に追い込まれている海賊船。“まん延防止措置”の解除による集客に期待を寄せていますが、原油高の影響で、船の燃料の高騰も懸念されています。
箱根観光船 運航部 渡部崇さん
「船舶の燃料ですね。こちら重油のほう使っておりまして、昨年に比べて3割ほど値上がっております。こちらが1つ困ったことでございます」
客足が戻らない中で、チケット料金の値上げはできず、頭を抱えていました。
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影響は小田原の名産品にまで広がっています。
小田原市にある山安・ターンパイク店で、お客さんが次々とかごに入れているのは「干物」です。お客さんからは、「安くておいしい」と評判ですが、今、値上がりの危機に――
山安・山田満代表取締役社長
「ロシアとウクライナの問題があると、やっぱり間接的になんですけど、(干物作りの)機械を使う時の電気代は直に影響を受けるところだと思う」
原油の高騰に伴い、電気代も値上がりしていて、「山安」では干物の乾燥や冷凍などで使う機械の電気代が去年と比べ、2割ほど上がっているというのです。
現状、販売価格は据え置きですが、山田代表取締役社長は「ゆくゆくは少しずつある程度(販売価格が上がり)ご負担いただかないといけないかなと」と話しています。
お客さん
「困る。安い方がいいですね、やっぱり」
今後、ウクライナ情勢次第で原油価格が上がる可能性もあり、様々なものやサービスの値上がりが懸念されています。