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過去25年間の金融政策などが企業に与えた影響は…日銀調査

2024年5月21日 1:34
過去25年間の金融政策などが企業に与えた影響は…日銀調査

日本銀行は過去25年間の経済や物価、金融政策が企業にどのような影響を与えたのか、分析するための大規模アンケートを行いました。長年の金融緩和について企業からは経営や前向きな投資の支えになったとする声が確認された一方、人材確保難や価格競争激化などの副作用も指摘されました。

この調査は日銀が「金融政策の多角的レビュー」の一環として法人企業およそ2500社を対象に、1990年代半ば以降の「設備投資」や「価格設定」、「賃金」や「物価」について、アンケート方式で尋ねたものです。

過去25年間の国内の経済について半数以上の企業が「バブル崩壊・金融危機」、「リーマンショック」、「新型コロナ」など概ね10年に1度のペースで国内の事業を消極化させるような大規模なショックが発生したと回答しました。

日銀の分析では、企業はそうしたショックを経たことで積極的なリスクテイクを抑制し、財務改善や将来に備えた現預金の確保を優先するようになった、としています。また、それが、長年にわたる設備投資の抑制や物価、賃金の停滞の要因になったと見ています。

さらに、「競合他社との厳しい価格競争に直面した多くの企業で、コストの価格転嫁が困難」となったり、「低価格を維持するために賃金を抑制することで、消費者の低価格志向を定着させるという悪循環を招いた」などと分析しています。

中でも設備投資の抑制について企業からは「金融機関からの貸し剥がしの経験は恐怖感や不信感に繋がった」として、金融機関への不信感から、設備投資より財務の健全性維持を優先させたとする回答が多く聞かれました。

また、物価の低迷にもつながった「価格設定」のあり方については、「バブル崩壊後は、買い手が値上げに対して厳しくなり、価格転嫁の発想すらなかった」「90年代前半は、バブル崩壊による将来不安から『高いモノを買うのに後ろ指をさされるような風潮』があったと思う」など、消費者の節約志向や企業のコストカット意識が急速に強まったことなどが価格転嫁を困難にしたきっかけだったとする声が聞かれました。

一方、長きにわたる日銀の金融緩和に対する実感として、「デフレ下の中小企業経営を金融面から支えた」「M&Aに向けた資金調達の際に、金融機関の対応が軟化した」など、経営や前向きな投資の支えになったとする声が確認されました。

しかし、「円安は、原材料費の増加や外国人労働者の採用難化をもたらした」「仕入れの原価が変動してしまうため、為替が安定していた方がありがたい」など、為替の変動による人材確保難や価格競争激化などの副作用が指摘されました。