富富富を海外に売り込め 富山県内生産者の挑戦
富山県のブランド米「富富富」が、この秋から本格的に海外へ輸出されます。自ら収穫した富富富を海外へ売り込む生産者たちの戦略を岡田記者がお伝えします。
収穫を迎えた県のブランド米「富富富」。
岡田記者「こちらの富富富は特別栽培米です。輸出してアメリカで販売することが予定されています」
販売先はハワイとニューヨーク。県内3つの農業法人が共同で取り組みます。コシヒカリなどを台湾や香港に輸出してきましたが、富富富の海外輸出は初めてです。
農薬や化学肥料を減らした特別栽培米で、付加価値も付けました。
アメリカで富富富は歓迎されるのでしょうか。本格的な輸出を前に7月、入善町の米山農産など3農業法人は、ハワイ・ホノルルのスーパーで試食会を開き、直接売り込みました。
米山義隆社長「新潟とかのコシヒカリに勝てないというところがあって(富山県)唯一の品種である富富富を売り込んだ結果が、今になっています」
コシヒカリは新潟産が圧倒的な人気のため、同じコシヒカリで勝負するより、富山にしかない富富富で挑みました。
米山義隆社長「富富富というネーミングがかわいらしいとか、試食していただいて、おいしいというところで、非常に好評を得て販売は進みました」
県は富富富について、今年産から輸出用米を解禁します。
県の計画では、2026年度までの8年間に、農林水産物等の輸出額を120億円と10倍に増やす目標を掲げています。
輸出は年々増えているものの、コメは目標値の5割以下にとどまっています。
3農業法人は6年前からコシヒカリなど米の輸出に取り組んできましたが、全てが順調に進んだわけではありません。近年は物流コストの上昇などの影響で商談がまとまりにくくなっているといいます。
米山義隆社長「最終的に自らの足で稼いだ部分が大きくて、たまたま良い商社と知り合えることができたということで、輸出を始めることができた。逆輸入ってあると思うんですね。やはり国内でもしっかりとした価格で売れる、それと海外でもしっかりとした価格で売れる。それをすることで農家の手取りというものも上がるだろうし、農家の自信にもつながるかなと思います」
今年は富富富をアメリカに4.2トン輸出する計画です。
富富富はコシヒカリ以上の高級路線という県の当初の戦略は見直されましたが、持続可能な農業を見据え、生産者自らが動きブランド戦略を描く、粘り強い挑戦は続きます。