【特集】“ローカルスーパー界の女神” 後継ぎの女性店長が「アトツギ甲子園」で熱く語った戦略《新潟》

全国の企業や店舗の後継者が今後の事業の展望や未来をプレゼンする「アトツギ甲子園」が開かれました。
県内からは新潟市南区のスーパーマーケットで働く女性が出場。 抱く“野望”をアツく語りました。
カラフルなファションで登場したのは、栗林礼奈さん。 新潟市南区のスーパーの店長です。
【栗林礼奈さん】
「私がいる!(関東ブロックの)優勝直後に取った写真です。めっちゃノリノリなの、めっちゃいい笑顔!」
その舞台とは……今回で5回目となる「アトツギ甲子園」。 全国の後継ぎ189人が応募、地区大会を突破したファイナリスト・18人が新規事業のアイデアをプレゼンテーションなどで競います。
新潟市南区にある「マスヤ味方店」です。
普通のローカルスーパーと思いきや店内には栗林さんが厳選した全国の商品がズラリ!
店に並んだ商品をスマホで撮影。 すぐさまSNSにアップします。 さらに目立つポップでお客さんの心を鷲づかみ!
お客さんは……?
【買い物客】
「初めて鳥取から来たんだけど、全国のいろんなおいしいものを揃えてられると聞いて新潟まで来たので…」
お客さんは県外からも……大切にしていることがあるといいます。
【栗林礼奈さん】
「ありがとうございます!お気をつけて!」
「いいでしょこの地元感が。ローカルならではのあたたかさ」
曾祖父が店を創業してから76年。
父が跡を継ぎ、母はそれを手伝い娘にバトンを渡しました。 栗林さんの目指す舞台は“世界” アメリカ、カリフォルニアに進出することです。
【栗林礼奈さん】
「アップルのジョブズみたいに頑張ってプレゼンしているこんな大舞台画あるんだっていうことぐぉ一年前に知って、私新潟代表として出て、全国大会に行って、他の新潟の跡継ぎの人にも知らせられるいいチャンスになるんじゃないのかなと思って、そういうことで挑戦しました」
そんな志から出場したアトツギ甲子園。 栗林さんは関東ブロックで見事優勝し、全国への切符を手にしました。
京都の大学を卒業し、10年間ITの世界で活躍した栗林さん。
【栗林礼奈さん】
「東京にいて給料が欲しいからITに行くみたいな感じでお金をとれるだけで仕事ができると思ったけど、こんなに自分の不得意なことをして食べていくことが大変なことなんだ・しんどいことなんだ・ストレスのかかることなんだと思って。1回バイトしていろんな職種体験してみようかなと思って…だったら日本でバイトするよりも海外に行った方がいいなと思って」
しかし……。
「準備してたらコロナ渦になって、一旦じゃあ新潟に帰るかって新潟に帰ってきました。新潟でバイトするにしてもまず家業のバイトが目の前にあるから手伝ったんですよね。そしたらすごい面白くて天職だなコレ、いっぱいバイトしようとして天職探そうとしてたのにコレ天職だったじゃんと思って」
進む道は目の前にありました。
◆「人間性が飛びぬけていて」
全国大会の3日前、栗林さんはプレゼンのブラッシュアップのために実践練習をしていました。
応援者からみた栗林さんの印象とは?
【新潟県信用保証協会・大島晃さん】
「人間性が飛びぬけていて、一言で言えばかべを作らないというところがすごいと思っていて、独自の仕入れ戦略が出来ているのも壁のない人柄がしっかり経営に生きていると感じています」
ラストスパートに思いを詰め込みます。
ことし2月14日。新潟とは違って青空が広がる東京です。
【栗林礼奈さん】
「きのうの夜が一番緊張してました、新幹線乗る時。新幹線乗る時に改札の中に入ったんですよ、そしたら改札の外からマスヤの店長さん頑張ってってきれいな女性の人が声をかけてくださってすごいうれしくて」
会場には“マスヤT”(シャツ)を着た応援団の姿も……。
【栗林礼奈さん】
「本番は~1勝負するだけだと」
いよいよアトツギ甲子園全国大会が開幕。 4分間のプレゼンと6分間の質疑応答で競います。 熱いプレゼン……ついに、舞台上に栗林さんが登場しました。
【栗林礼奈さん】
「皆さんはじめまして。私、“ローカルスーパー界の女神”、マスヤの栗林です。いま日本の個人商店が次々と店を閉じています。かつて活気があった商店街はシャッター街に。地方の内需だけでは限界があります。そんな厳しい状況のなか海外に進出しモデルを作ることができれば地方の希望になれる!マスヤは海外に挑戦します!」
栗林さん、熱く海外進出の戦略を語りました。
【審査員・コクヨ代表執行役 黒田英邦 社長】
「すごい言葉が強くて質問する隙がないんですけども、本当にこういう成功事例が新潟で実現されているって話を直接伺って、これを海外に持って行くと思ったきっかけと女神はどこまで行っちゃうのか聞きたくて」
【栗林礼奈さん】
「え、新潟のスーパーがカリフォルニアに行っちゃうの?みんなが実現できたときにワクワクすると思うんですよ。そういうストーリーを売っていきたい。日本人で世界で戦っていこうぜっていう場を“食”から作りたい」
全国の舞台へ進んだ18人の挑戦者たち。その頂点に立ったのは京都からの挑戦者でした。
力を出し切った栗林さん……。
【栗林礼奈さん】
「優勝するかと思ってました!笑」
グランプリにはあと一歩でしたが栗林さんの熱い思いは審査員にもしっかり届いていたようです。
【審査員・早稲田大学ビジネススクール・杉田浩章教授】
「あのバイタリティーは無茶苦茶すごいですね。ああいう人が次の世代を引っ張っていくし、そういう人じゃないと大きな事業を作っていけないんだろうなと……」
【審査員・コクヨ代表執行役 黒田英邦 社長】
「供給者側の理屈じゃなくて、お客様の理屈であそこまで貫くっていうのはこれからのビジネスモデルじゃないかなと思うし、ある意味日本らしいし、海外でも多分成功すると思っています」
【栗林礼奈さん】
「たくさんの人に知ってもらえただけでもすごく実りがありましたし、“アトツギ”の仲間って本当にいないので、同じような重荷を背負った心の友と書いて“心友”とも出会える機会になったので本当に良かったです」
(2025年3月11日放送「夕方ワイド新潟一番」より抜粋)