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【特集】“インバウンドによる誘客拡大” 新潟県は外国人旅行客の獲得をどう実現? 新年度予算案にみる県の戦略は《新潟》

2025年2月24日 20:01
【特集】“インバウンドによる誘客拡大” 新潟県は外国人旅行客の獲得をどう実現? 新年度予算案にみる県の戦略は《新潟》

378万人……これは今年1月に日本を訪れた外国人の数で1か月としては過去最多です。そして新潟県内でも……。

去年(2024年)は県内に宿泊した外国人の“のべ人数”が過去最多となる見込みです。

県の新年度予算案、「インバウンドによる誘客拡大」について。妙高のリゾート開発に世界遺産登録に沸く佐渡。こうした強みを外国人客の獲得にどうつなげていくのでしょうか。

◆スキー客の約5割はインバウンド

そのパウダースノーに多くのスキーヤーやスノーボーダーが魅了されています。

〈オーストラリア人〉
「美しく素晴らしいです!こんなに素晴らしいスキー体験はいままでした中で最高です」

〈オーストラリア人女性〉
「アメイジング スノー!!」

連日、外国人客であふれる妙高市のスキー場。特にいまは夏のオーストラリアやニュージーランドから長期休暇を過ごす客が訪れています。

〈赤倉観光リゾート&スパ 後藤幸泰・統括支配人〉
「スキー場は50パーセントくらいがインバウンドの方。お客様が来ていただいて妙高市内でお金を使っていただければ経済活動も活発になると思いますので」

◆大幅に回復したインバウンド

このグラフは旅行などで新潟県を訪れ宿泊した外国人客の推移です。コロナ禍には一時的に減少しましたが2023年以降大幅に回復しています。インバウンド需要の増加に花角知事は……。

〈花角英世 知事〉
「国際拠点化と戦略的な海外展開、交流の促進。事業の効果というものを上手に地域に還元できるように地域が受け止められるように、そこを行政として応援していかなきゃいけない、引っ張っていかなきゃいけない」

◆県の新年度予算案

県が発表した新年度予算案。外国人客のさらなる増加を見込み公共交通をキャッシュレス化に。このほか妙高の大型リゾート開発をめぐり県の金融機関が新たにつくるファンドに出資するとしています。

その大型開発とは……。

シンガポールと東京に拠点を置く不動産投資ファンドを運営するケンチャンさんです。

〈不動産投資ファンド運営 ケン・チャンさん〉
「この駐車場自体がひとつの街と考えていただければ」

妙高高原エリアを拠点に高級ホテルやスキー場など一年を通して集客できる大型リゾートを建設する計画です。

〈不動産投資ファンド運営 ケン・チャンさん〉
「しっかり整備して投資もして世界レベルのスキー場を作ることになったら、国内のお客さんも海外のお客さんもついてくると思う」

バラ色の未来を予感させる大型開発の影響で妙高市関川の住宅地では去年の基準地価が前年比9パーセントの高い伸びを示しました。別荘として、投資先として、妙高の山あいにある物件が近年、注目を集めています。

◆オーストラリアから別荘探しに!?

オーストラリア人のブレントンさん……この日は別荘を探している友人と一緒に物件の内覧に。訪れたのは650万円で売りに出ている一軒家です。

一点、気になることが……。

<不動産店>
「トイレ見ました?」

<ブレントンさん>
「くみ取り式だったね。変える必要があるね」

<不動産店>
「かなり費用がかかります」

トイレのリフォームにそれなりの費用がかかるというのです。それでも……。

〈ブレントンさん〉
「2階がいいよ日差しがあって温かいね。(650万円は)少し高いけどこの2年くらい地価が上がってきているので仕方ない」

この日、物件の内覧に訪れたのは2組。東京に住む日本人客も投資を目的に触指を伸ばしていました。

〈日本人客〉
「外国人向けの一棟貸し、夏はもちろん日本人も来ていただきたいですけど。ここの物件600万ちょっとですけど、この金額で買ってリフォームして何年かまわして売ったときにきっと売れると思うんですよね」

◆人気が高まる妙高の物件

東京から訪れやすいことそしてスキー場へのアクセスの良さで人気が高まる妙高の物件。数年で2倍3倍になることもあるという空前のバブルに不動産関係者は……。

〈不動産業者〉
「オーストラリアで自宅を買えない方も妙高市で別荘を買える時代になってきているので、数年前に買ったけれどもまたリゾート開発の話で価格が高騰している間に(物件を)売ってしまおうという2回目の売買が起きているというのは聞いています」

◆インバウンドで空前のバブル!?

空前のバブルは、ほかでも……。

〈永高畳店 永高祐司さん〉
「妙仙、ここ外国人です。物価高なので一般のお客さんの需要が減った分、外国人客で、カバーしてもらっている感じ」

妙高市関川で祖父の代から続く畳店を営む永高祐司さん。コロナ禍が終わりスノーシーズンに戻ってきた外国人客の数に改めて驚いているといいます。

〈永高畳店 永高祐司さん〉
「6万人来るらしいんですけど外国の方が、ひと冬に。予約しておかないと食堂に入れない。そうすると買い出しに地元のスーパーに行くとなると、その時期になるとものすごくスーパーが混みます」

◆急増する外国人客からの畳の注文

急増する外国人客からの畳の注文……この日はニュージーランド人とオーストラリア人の夫婦が経営する宿へ。

〈永高畳店 永高祐司さん〉
「いい感じに入っていると思います」

妙高のパウダースノーと“日本らしさ”にひかれ10年ほど前に宿を購入したオーストラリア人女性。スノーシーズンだけでなく大型開発により1年を通してにぎわいを目指す地域の未来については……。

〈オーストラリア人経営者〉
「(大型開発で)春や夏の旅行客は増えるでしょうね。これまで春以降は静かだったからみんなにとっていいことね。同時に地域の文化は変わるかもしれない。だから(大型開発が)100パーセントポジティブと言えるかは難しいわ」

〈永高畳店 永高祐司さん〉
「開発が始まると、ここも向こうの旅館も工事現場の人たちが夏場利用するようになるのでそのときは潤うと思います。その後だよね、後。上の高級リゾートホテルが何棟も建って、予約できずにあふれた人たちが果たしてそこ(旅館や民宿)に泊るかどうか、そうすると民宿の人たちも努力しないとダメですよね」

◆観光客が増える

1年を通して観光客を誘致したいのは佐渡市でも……。

〈愛媛から来た観光客〉
「佐渡金山世界遺産に登録されてこの機会に行ってみたいと思ってきました」

〈東京から来た観光客〉
「お米と魚が美味しいから来ました」

◆世界遺産登録で盛り上がる佐渡市

2024年7月の世界遺産登録で盛り上がる佐渡市です。国内外から脚光を浴び去年の夏以降多くの観光客が訪れました。

〈台湾から来た観光客〉
「(佐渡は)静かで豊かな感じ。やっぱり雪は綺麗です」

◆ホテル経営者は

それでも……雪や風、高波の影響でフェリーが欠航することも少なくない冬場は佐渡を訪れる観光客が減少するといいます。

〈HOTEL OOSADO・田中妥 支配人〉
「明らかに少なくなりますね。船が出るか出ないかが分からないという状況が1番旅の計画を立てるのに不安な要素にはなってくるので」

こう話すのは佐渡市でホテルを経営する田中妥さん。東京の百貨店では、ことし佐渡島内をヘリコプターでめぐる遊覧アクティビティとスイートルームなどがセットになった豪華プランを販売……。

県は「佐渡島の金山」を核とした「オール新潟」での観光を目指していて、今後、県内各地の食や文化に触れる体験型のアクティビティが不可欠だといいます。

〈HOTEL OOSADO・田中妥 支配人〉
「この島だから体験できるものが多いのでそこは今後さらに強めていく必要があるのかなと思っております。注目をいただいたところで終わってしまってはならないのでここからの課題は『継続』というところが一番私たちに課せられたところ」

1年を通して安定して旅行客に訪れてもらうために。そして、さらなるインバウンド需要の拡大へ……県をあげてふるさと新潟の魅力を発信していきます。

最終更新日:2025年2月24日 20:01
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