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北朝鮮“異例のスピード”で“超大型ロケット砲”発射映像を公開 金与正氏「アメリカ軍の行動にかかっている」

2023年2月21日 1:57
北朝鮮“異例のスピード”で“超大型ロケット砲”発射映像を公開 金与正氏「アメリカ軍の行動にかかっている」

北朝鮮は20日朝、2発の“超大型ロケット砲”を日本海に向けて発射し、同じ日に“異例のスピード”で映像を公開しました。緊張感が高まる中、金正恩総書記の妹・与正氏が談話を発表し、今後、“日本列島を越えるミサイルの発射”の可能性を示唆しました。専門家は発射実験について「北朝鮮の東側の日本海でやるしかなく、そうすると日本にミサイルが飛んでくる可能性がある」と指摘しました。

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20日朝に日本海に向けて発射された2発の“超大型ロケット砲”について、北朝鮮の国営テレビが同じ日に“異例のスピード”で映像を公開しました。

朝鮮中央テレビ アナウンサー
「朝鮮人民軍の部隊が、ロケット砲を使った射撃訓練を行いました」

いずれも、日本のEEZ(=排他的経済水域)の外に落下したと推定されています。

岸田首相は20日午前、「一昨日のICBM(=大陸間弾道ミサイル)級の弾道ミサイル発射に続く、北朝鮮の弾道ミサイル発射ですので…」と言及。北朝鮮は18日、ICBMの「火星15」を発射したばかりです。

19日に朝鮮中央テレビで公開された写真には、軍人らが「火星15」の発射が成功した喜びでガッツポーズをしている姿が…。「火星15」は日本のEEZ内に落下したものと推定されていて、各地の上空で関連するとみられる“白く光る何か”が捉えられました。

漁師
「おっかないよね、やっぱりね。危なくてダメだわ」

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危機感が高まる中、20日に談話を発表した金正恩(キム・ジョンウン)総書記の妹・与正(ヨジョン)氏は、「太平洋を我々の射撃場に活用する頻度は、アメリカ軍の行動にかかっている」と談話を発表し、今後、“日本列島を越えるミサイル発射”の可能性を示唆しました。

去年10月、北朝鮮の弾道ミサイルが日本を飛び越えたときに走った“緊張”。それが今、日本に迫っているのでしょうか。

今月9日に公開された軍事パレードの映像では、仲むつまじい様子の金総書記と娘とみられるジュエ氏のもとに、“20日に撃たれたミサイル”も姿を現しました。

軍事パレードに映っていたミサイルについて、専門家に話を聞きました。

軍事ジャーナリスト 黒井文太郎氏
「事実上の短距離弾道ミサイル」

使用されたのは、口径600ミリの最新型の超大型ロケット砲でした。

軍事ジャーナリスト 黒井文太郎氏
「むちゃくちゃ脅威です。韓国、それから在韓米軍を狙うために開発したものですね。いっぺんに何発も撃てるというのが特徴」

北朝鮮側は「低出力の核を載せることを前提とした攻撃手段だ」と主張していて、黒井氏は、一度に複数発射できるため、核弾頭が搭載されれば相当な脅威だと話します。

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相次ぐミサイル発射は、アメリカと韓国が合同軍事演習を行うことへの反発とみられています。

“列島を越える発射の可能性”について、北朝鮮政治が専門の慶応義塾大学の礒崎敦仁教授は「北朝鮮のミサイル(発射)は(今後)ますます懸念される。北朝鮮にとって日本は脅威ではない。脅威なのは米韓。(発射実験は)地図をみれば分かるとおり、東側の日本海でやるしかないわけですよね。そうすると日本の方にミサイルが飛んでくる(可能性がある)」と指摘しました。

(2月20日放送『news zero』より)