増え続ける民間人の犠牲 「精密ミサイル使い果たした」分析も…“無差別攻撃”増える懸念
ウクライナとロシアの間で停戦に向けた協議が行われる中、18日も攻撃が続き民間人に犠牲が出ています。「精密巡航ミサイルを使い果たした可能性があり、住宅地に対する無差別兵器の使用が増えている」との分析も…。
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17日、ウクライナの首都キエフでは、倉庫が砲撃を受け、火災になっていました。同じ日、第2の都市ハリコフでは、市場が狙われました。ロシア軍のミサイル攻撃を受け、街は黒い煙に包まれていました。
一方、ロシア軍が包囲を続ける南東の街マリウポリでは、ウクライナ側によると、多くの民間人が避難していた劇場がロシア軍の攻撃を受けました。攻撃を受ける前、この劇場は周囲の地面にロシア語で「子供たち」と大きくかかれていて、避難している人がいることを示していました。
地元当局者によると、1300人前後が避難していたという劇場。これまでに約130人が救助されたということですが、救助活動は難航していて被害の全容はわかっていません。
容赦のない無差別攻撃。
アメリカのシンクタンクは、ロシアは「侵攻から20日間で精密巡航ミサイルを使い果たした可能性があり、住宅地に対する無差別兵器の使用が増えている」と分析しています。
地元当局によると、住宅の8割以上が被害を受けているというマリウポリ。避難した人は――
マリウポリから避難した人
「マリウポリに残っているものはなにもない。いったい、どこに帰ればいいんだ」
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そして、18日もキエフでは早朝から被害が出ました。ウクライナの非常事態庁によると、ミサイルの破片が集合住宅に直撃し、1人が死亡、4人がけがをしました。
西部リビウでは、勢いよく上がる黒煙が見られました。「航空機の修理工場に複数のミサイルが命中した」と地元市長が発表しました。この攻撃で火災が発生しましたが、死傷者は出ていないということです。
そのリビウで、取材を続けているジャーナリストの佐藤和孝さんは16日、市民の暮らしを支える市場を訪れました。日用品や果物、肉などの食料品は、いまもそろっていました。
しかし博物館は、避難する人々に物資を支給する“大規模支援センター”に変わっていました。
佐藤さん
「人道援助をしている場所だね」
日々、届くのは、長期保存ができる缶詰などの食料や衣料品。
別のフロアには――
佐藤さん
「ここは医薬品を集めている場所ですね」
医薬品の数々が並んでいましたが――
支援センタースタッフ
「兵士に使う薬が足りていません」
不足しているものも多く、十分な支給は行えていない現状があるということです。
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ロシアによる軍事侵攻から3週間以上が経過しました。
ウクライナのゼレンスキー大統領は日本時間18日、病院を訪問する様子を自身のSNSに投稿しました。さらに、非常事態庁を訪問する様子も立て続けに投稿。SNSを駆使し、こうした動画を投稿することで国民を鼓舞する狙いです。
ただ、この戦略を逆手にとる動きも見られます。ゼレンスキー大統領の会見のように見える偽の動画がロシアのSNSに投稿されました。これは「ディープフェイク」というAI技術を使った動画で、ウクライナの人々に武器を置き投降するよう呼びかけるウソの内容でした。
フェイスブックを運営する「メタ」社は、偽動画を16日に発見し削除したということです。
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こうした中、避難する人たちを受け入れる隣国ポーランドでは、国境を越えて避難してくる人が後を絶たちません。周辺では、受け入れも限界に達しつつあります。
避難所の多くはボランティアが運営しているため、資金のひっ迫や人員不足などで、いつまで支援を続けられるか不透明な状況だといいます。