パキスタン大規模洪水…国土の3分の1冠水 綿花も流され…日本への影響も
大雨による大規模な洪水で国土の3分の1が冠水したパキスタンでは、甚大な被害が出ています。一方、パキスタンは世界的な綿花の生産地で、日本への影響も懸念されていて、綿製品の流通に詳しい専門家は、衣料品などの価格が高騰する可能性を指摘しています。
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8月31日、パキスタン・スワートで撮影されたのは、市場の真ん中を濁流が流れる様子。立ち並んでいた店は洪水で壊滅的な被害を受けていました。
6月から続く大雨で甚大な被害が出ているパキスタン。浸水した地域では、家を失った人たちが避難所に入れず、テントを張って生活していました。
被害にあった人は「濁流が家を流していった。家財も壊れてしまった。私たちは貧しく、支援が必要です」と肩を落としました。
南部シンド州では、4人の子供とともに避難した妊娠7か月の女性が「妊娠7か月ですごく背中が痛いし、せきも出る」と話します。病院では、コレラやマラリアなどに感染した多くの被災者が治療を受けていました。
ロイター通信によると、この大雨で、これまでに少なくとも子供416人を含む1208人が命を落としたということです。
その大雨の威力を衛星写真がとらえていました。
インドの北西に位置し、日本の約2倍の国土を持つパキスタンですが、大雨でその国土の3分の1が冠水しました。南部を見てみると、8月1日には緑色だった大地が、1か月たった9月2日は大部分が水につかっています。
CNNによると、インダス川流域の一部は幅100キロほどの“湖”のようになっているということです。別の写真では、住宅地や農地一帯がのみこまれてしまった様子が見てとれます。
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大規模な浸水は日本にも影響を及ぼす可能性があります。
日本では去年、約9000トンの綿の糸をパキスタンから輸入していて、これはインドネシアに次いで2番目の量です。その原料となる綿花の45%が洪水で流されたといいます。
綿製品の流通に詳しい専門家は、衣料品などの価格が高騰する可能性を指摘します。
日本綿花協会代表理事 大下信雄さん
「世界の綿花の取り合いになってくるという状況」
貧しい人たちが住むエリアも容赦なくおそった今回の洪水。
現地で食料支援にあたっている国連WFP(=世界食糧計画)の現地代表は――
国連WFP現地事務所 クリス・ケイ代表
「地球温暖化は先進国がもたらしたものであり、パキスタンのような発展途上国は最も大きな影響を受けている」
地球温暖化が被害拡大の一因だと指摘し、先進国に支援を呼びかけました。