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大統領代行「デモ隊の強制排除開始」命じる

2014年4月15日 1:54

 ウクライナ東部で親ロシア派のデモ隊が政府庁舎などを占拠している問題で、暫定政権は日本時間の14日午後3時までに立ち退かなければ軍が強制排除に乗り出すと警告しているが、期限から8時間が過ぎても占拠は続いている。首都・キエフから渡辺祐史記者が伝える。

 日本時間14日午後11時半頃に入った情報によると、トゥルチノフ大統領代行は強制排除の開始を命じる大統領令に署名した。ただ、現地での動きは伝えられていない。これに先だって暫定政権の対テロ作戦責任者が交代した。理由は明らかにされていないが、現地ではこれまで部隊が上層部の命令に従っていない、という報道が流れていた。

 暫定政権側が強硬姿勢に転じた理由は何なのか。最も恐れているのは、おさえが効かなくなること。実際、日本時間の14日夜には東部のゴルロフカの警察署が新たにデモ隊に占拠され、その様子がインターネットで生中継された。混乱が続けば、暫定政権の統治能力に疑問符がつきかねない。

 トゥルチノフ大統領代行は14日、「ウクライナの国家体制をどのような形にするかを問う住民投票を実施する用意がある」と、譲歩の姿勢も示した。硬軟両様の構えで事態の収拾を目指しているが、仮に強制排除で親ロシア系住民に人的被害が出た場合、これまで東部の編入には慎重だったロシアが限定的な軍事介入に踏み切る可能性も排除できず、事態は緊迫の度を増している。