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元戦闘員が語る「イスラム国」の実態

2014年10月17日 16:43
元戦闘員が語る「イスラム国」の実態

 イスラム過激派組織「イスラム国」。日本でも大学生が参加を企てていたことが発覚したこの組織で、戦闘員だったという男性が実態を語った。天野英明記者が取材した。

 「お金・車・女性などで誘惑して戦闘員を集めています。彼らの支配する場所に住んでいる人々は、恐怖のあまり『イスラム国』に参加する道を選びます」

 こう語るのは、「イスラム国」の戦闘員だったというシリア人の男性だ。2か月前に「イスラム国」を離れ、現在はシリアの反体制派組織、自由シリア軍に参加しているという。

 トルコとシリアの国境へ訪れると、多くの人々がシリアから戦火を逃れてトルコ側に避難していた。「イスラム国」の台頭などにより、シリア北部に住んでいた多くの人々が難民となり、トルコ側に流入。国連の機関によると、その数は先月以降だけで17万人を超えたという。現在も、トルコ国境付近などで攻勢を強めている「イスラム国」。実は、他のイスラム過激派組織とは異なる“ある特徴”が多くの国を悩ませている。

 「外国人戦闘員の脅威が増している今こそ、国際社会は団結しなければならない」

 オバマ大統領が“脅威”として挙げたのは、外国人戦闘員の存在だ。先月、国連の安全保障理事会では、各国の市民が「イスラム国」に合流する動きを、いかにして防ぐかなどを話し合う緊急会合も開かれた。アメリカ国務省によると、80か国以上の国から1万5000人以上の外国人戦闘員が「イスラム国」に参加しているという。

 なぜ「イスラム国」に外国人が集まるのか。戦闘員だったという男性は、外国人の戦闘員が優遇されていた実態を証言した。

 「『イスラム国』からは、シリア人に月400ドル、外国人に月800ドル支払われていました。外国人には支配地域に住む女性が与えられ、結婚できるのです」

 今月6日には、シリアから遠く離れた日本でも「イスラム国」参加の動きが発覚。警視庁公安部による任意の事情聴取を受けた北海道大学の学生は、「『イスラム国』の戦いに報酬をもらい戦闘員として参加し、戦いになれば人を殺すつもりだった」などと話しているということだ。

 しかし、元戦闘員だという男性は、「イスラム国」に一度参加すれば、自由は完全に奪われると話す。

 「彼らは非常にシステマチックです。戦闘員の情報は極秘に扱われています。例えば、別のセクションの戦闘員とは交わらず、誰も他人のことを知りません。命令はリーダーからきますが、そのリーダーが誰なのか、誰も知りません。無用な質問をしたら6日も刑務所に入れられました」

 現在も増え続けているとみられる「イスラム国」に参加する外国人たち。将来、自国に戻ってテロを行う可能性もあるとして、国際社会は懸念を強めている。