香港デモ 抗議活動若者たちの思い
民主的な選挙を求めるデモが2か月以上、続く香港。デモの長期化に対する住民の反発を背景に撤退論も出ているが、なぜ若者たちは抗議活動を続けるのか。
1年間の日本滞在経験がある劉寶ブンさん(24)は、現在、日本料理店でアルバイトをしながら、デモ隊最大の拠点・香港政府庁舎前で2か月以上テント生活を続けている。
香港のトップである行政長官の選挙をめぐり、中国側が決定した立候補者を制限する改定案の撤回を求めるデモ隊。しかし日中のテントは数は非常に多いが、人数は減っており、現在、撤退を含めた協議が行われている。
抗議活動が下火になっている原因の一つは、デモの長期化に対する住民の反発。香港大学が先月中旬に行った世論調査では、直ちにデモをやめるべきとの回答が82.9%を占めた。こうした中、当局は、先月下旬から繁華街の拠点などで強制排除を実施。強硬な姿勢を見せている。それでもデモを続ける劉さん。背景には、中国本土の影響力が強まる、いまの香港への危機感があった。
劉さん「目の前のミルク。(本土の)中国人はここに来て、10個、20個とか買うから。一時期これが売り切れて、香港の人は不満」
近年、経済成長とともに、中国本土からの観光客が増加。粉ミルクなど、生活用品を大量に買い占めていくという。また、繁華街で目立つのは、宝石店や時計店。こうした店は客のほとんどが中国本土の富裕層だ。さらに、影響は飲食店にも及び、劉さんが好きだというワンタンメンについて、劉さんは「今は28香港ドル(約430円)。前は15香港ドル(約230円)で食べられました。昔と比べると高い。でもおいしいから仕方ない」と話す。
店主によると、家賃が高騰しているので、値段を上げざるを得ないという。
中国本土の投資家が不動産を大量購入するのが、高騰の原因の一つといわれている。劉さんは、香港政府にもっと住民のことを考えてほしいと訴える。
劉さん「今のままじゃ何も変わらないから選挙を通して、みんなの思いを通すため、選挙は必要だと思います」
日本に友達が多い劉さんは、今月、行われる衆議院選挙がうらやましくて仕方ないという。
劉さん「(Q日本では選挙に行かない若者が多いとか)ちょっとムカつくかもしれない。権利を命をかけて闘っているのに」
当局は、近く再び強制排除を行う見通しだが、劉さんは要求が通るまで道路の占拠を続けたいとしている。
*「ブン」は、「雨」かんむりの下に「文」。