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北朝鮮が映像公開 「火星18」発射…狙いは? 金総書記は満面の笑み アメリカを非難も

2023年7月13日 19:30
北朝鮮が映像公開 「火星18」発射…狙いは? 金総書記は満面の笑み アメリカを非難も

北朝鮮の国営メディアは、新型ICBM(=大陸間弾道ミサイル)火星18の試験発射を12日に行ったとして、映像を公開しました。発射に立ち会っていた金正恩総書記が満面の笑みを浮かべる様子も。発射の狙いはどこにあるのでしょうか。さらに、金総書記はアメリカについて「極めて挑発的な空中偵察行為に縛られている」と非難したということです。

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北朝鮮が公開したのは、12日に行われた北朝鮮の新型ICBM「火星18」の試験発射の模様です。朝鮮中央テレビは13日午前9時すぎ、様々なアングルで発射の様子を伝えました。

片側に9つの車輪がついた移動式の発射台の先端部分が開き、発射装置がゆっくりと立ち上がります。現場には指導のために立ち会う金正恩総書記の姿もありました。そして――

「3、2、1発射!」

大きな炎を噴き出しながら、ミサイルが垂直に上昇。ミサイルに搭載されたカメラでは、地上がどんどん遠ざかり、ついには地球の形が分かるほどの高度に。北朝鮮は、ミサイルが最高高度6648キロまで上昇、1001キロを約74分かけて飛行したと報道しました。

朝鮮中央テレビ
「試験発射を通じて確証されたすべての新記録は、わが共和国核戦略武力の信頼性に対する疑う余地のない検証となる」

ミサイルは日本海上の目標水域に正確に着弾したとしています。

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12日、ミサイル発射後に情報収集にあたっていた自衛隊のF15からとらえられた映像が公開されました。ミサイルの一部でしょうか…防衛省は「弾道ミサイルに関連していると推定されるものを空中で確認した」としています。防衛省によると、ミサイルは北海道の西、EEZ(=排他的経済水域)の外側に落下したとみられています。また、通常より高い角度で撃つ「ロフテッド軌道」で発射されたとみられています。

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発射に立ち会っていた金正恩総書記が満面の笑みを浮かべる様子と共に、朝鮮中央テレビは「敬愛する金正恩同志は試験発射の結果に大満足を示しました」と伝えています。

同じ「火星18」を前回4月に発射したとき、金総書記はジュエ氏とみられる娘と一緒にいましたが、今回の写真に娘の姿はなく、李雪主夫人が立ち会っていました。

さらに、金総書記はアメリカについて「極めて挑発的な空中偵察行為に縛られている」と非難したということです。アメリカをめぐっては、金正恩総書記の妹・与正氏が11日の談話で、アメリカ軍の偵察機が北朝鮮の排他的経済水域を「無断侵犯し空中偵察行為を強行した」と主張。その上で「繰り返せば危険な飛行を経験する」と警告していました。

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北朝鮮の発射の狙いはどこにあるのでしょうか。

慶応義塾大学 礒崎敦仁教授
「偵察機とか1つの事象について批判をしているのではなくて、米韓が北朝鮮に核戦争を仕掛けてくるかもしれないという、そういう考え方を彼らはしている」

さらに、7月27日の朝鮮戦争の休戦協定締結70年にあわせ、国威発揚をはかる狙いもあると指摘します。

慶応義塾大学 礒崎敦仁教授
「米韓に対する敵がい心というものを、はっきりと国民に植え付ける良いタイミングでもある」

北朝鮮は、27日には軍事パレードの準備を進めていると指摘されていて、各国で警戒が続いています。