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厳しい要求ナシ「拍子抜け」も……ゼレンスキー大統領が国会演説 交流あった大学教授が読み取った“メッセージ”

2022年3月24日 10:12
厳しい要求ナシ「拍子抜け」も……ゼレンスキー大統領が国会演説 交流あった大学教授が読み取った“メッセージ”

ウクライナのゼレンスキー大統領が23日、日本の国会で演説。厳しい要求はなく、政府与党はロシアへの追加的な制裁を検討する構えです。西側諸国も今後の支援方法を見極めるとみられます。ゼレンスキー氏と交流があった専門家に、演説の印象を聞きました。

■追加の制裁は…政府与党で検討も

有働由美子キャスター
「ゼレンスキー大統領の演説では、日本に対して厳しい要求はありませんでした」

小栗泉・日本テレビ解説委員
「ある官邸関係者は、『拍子抜けしたという印象。日本が軍事的な支援ができないことも分かっているから、そこまでの期待はしていないのだろう』と話していました」

「ただ制裁の継続を求められたことについて、岸田首相は『追加の制裁を検討する』と述べたほか、自民党の高市政調会長も『まだいくつか強化できる対策はあると思う』と、政府与党で検討していく考えを示しています」

■NATOでも演説? 西側の受け止めは

有働キャスター
「24日は、NATOの緊急首脳会議でゼレンスキー大統領が演説する可能性があるといいます」

小栗委員
「プーチン大統領が生物化学兵器を使用するのではという警戒感が強まる中、24日の会議ではその対応なども議論されるものとみられます。ウクライナはNATOに加盟していませんが、ゼレンスキー大統領はビデオ演説などの形で参加する可能性があるといいます」

「アメリカ政治に詳しい、明海大学の小谷哲男教授は『アメリカの政権の中では、ゼレンスキー大統領の落としどころが見えない、と言われ始めている』と話しています」

「小谷教授は『戦時指導者としての確固たるイメージがある中で、妥協できなくなっているが、民間人の犠牲が増える中、いつまで戦い続けるのか。西側諸国としてもウクライナを今後どうサポートしていくのか、見極めたいと考えている』と指摘しています」

■ゼレンスキー大統領の「本心」は?

有働キャスター
「ウクライナ国民の士気は高くなる一方で、市民の犠牲は増えています。対応は非常に難しいと思います。ゼレンスキー大統領に実際にお会いになった神戸学院大学の岡部芳彦教授は、ゼレンスキー大統領の本心、どうしていこうと考えていると思われますか?」

岡部教授
「さすがにゼレンスキーさんのことはゼレンスキーさんにしか分からないと思いますが、一方で、重要な和平のことを国民投票にかけたいと言っていますし、国民の声を聞くというのは変わっていないのではないかと思います。ロシアとの対比で、ウクライナが民主的な国だということを表していると思います」

「各国への演説と違うことがありました。最後に『ウクライナに栄光あれ』と言ってきましたが、『日本に栄光あれ』と言ったのは初めてです。日本に対する非常に強いメッセージだったのではないかと思います」

有働キャスター
「日本だけに言ったことについては?」

岡部教授
「アメリカでは、『ウクライナに栄光あれ』と締めくくって、『アメリカに栄光あれ』と言いませんでした。今回はなぜか、『ウクライナに栄光あれ、そして日本に栄光あれ』と言ったので、日本のことを重視していると強く感じました」

■岡部教授「戦争は人を変える」

「以前お会いになった時と今のゼレンスキー大統領、どのように違いがあると思っていらっしゃいますか?」

岡部教授
「お会いした時は就任直後、そして日本に来た時でした。まだ少し、芸能人出身の感じがありました。(新型)コロナ(ウイルス)で(ウクライナに)あまり行けなくなって、2年経ちました」

「少し上から目線かもしれませんが、戦時下で一皮むけたというか、別の人間になったなと。良い意味でも悪い意味でも、この場合は良いのかもしれませんが、戦争は人を変えるんだなと思いましたし、指導力を発揮しています」

「ただウクライナにとって悲劇的な状態なので、早くこの状態は終わってほしい。そしてロシアの支配だけは受けないようにしてほしいと思います」

(3月23日『news zero』より)