日本育ちのウクライナ人がキエフの状況を語る「精神的にも体力的にも追い詰められる」
ロシアによるウクライナ軍事侵攻は7日目となりました。ロシア軍は首都キエフなどへの攻撃を続けています。アメリカのNBCテレビは「プーチン氏は、側近に異常なまでの怒りをぶつけている」と報じ、冷静な判断を失い、攻撃をさらに強めることへの懸念も広がっています。
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カメラが捉えたのは、首都キエフ中心部にあるテレビ塔が突然、炎に包まれる様子。ミサイルのようなもので攻撃を受けたのです。別のカメラでは爆発音が鳴り、黒煙が上がっているのがわかります。
ウクライナ当局はこの攻撃により、5人が死亡したと発表しました。これに先立ち、ロシア国防省はキエフにある情報・通信施設を攻撃すると警告していました。
ロシア軍の侵攻は各地で続いていて、ハリコフ中心部もミサイル攻撃を受けました。住宅街も様々ながれきが散乱しています。
住民
「ミサイル6発が、私の真上を飛んでいった」
ロイター通信によると、ハリコフへの攻撃で少なくとも21人が死亡、112人が負傷したということです。
またAP通信によると、南東の町マリウポリも攻撃を受け、少なくとも8人の市民が重傷だということです。
しかし、ロシアのショイグ国防相は軍の会議で、「精密兵器で軍事施設にしか攻撃していない」と、一般市民は狙っていないと主張し、「目標が達成されるまで特別軍事作戦を継続する」と述べました。
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アメリカのシンクタンクが戦況をまとめた地図には、ウクライナ国内でロシア軍が支配している地域が赤で示されています。
1日と2日の日本時間午前5時時点を比較すると、激しい戦闘が続くマリウポリ周辺で、ロシア軍の侵攻が進んでいるようにみえます。
沿岸地域を支配すれば、ウクライナはアゾフ海に面することができなくなり、事実上、ロシアがこの一帯を支配することになります。
ただ、アメリカ国防総省の高官は戦況について、ウクライナ側の予想以上の抵抗で「ロシア兵の士気が低下している兆候が確認できる」と分析。「多くが徴兵で十分な訓練を受けておらず、戦闘への参加を知らなかった兵士もいる」と指摘しています。
また、アメリカのNBCテレビは「プーチン氏は苦戦や欧米による制裁に不満を抱き、側近に異常なまでの怒りをぶつけている」という情報を報じていて、プーチン大統領が冷静な判断を失い、攻撃をさらに強めることへの懸念も広がっています。
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ウクライナのゼレンスキー大統領は「ロシア人はウクライナの歴史や国民を抹殺しろと命令を受けています」と述べました。
国を守るため、家族と離ればなれになる人もいます。
ウクライナ人
「私はリビウにとどまり、志願してできることをやります。もし必要であれば、戦うためキエフに向かいます」
「家族にすぐに会えると信じています。きっとすぐに会えます」
妻と子供はポーランドに避難するといいます。
南部の町では高速道路上にバリケードができていました。ロシア軍の侵入を防ぐため、市民が作ったといいます。
依然として続くロシアからウクライナへの攻撃。
約4時間前、キエフに住む日本育ちのウクライナ人、パルホメンコ・ボグダンさんにキエフの状況を聞きました。
「緊張感が高まっていて、空気がピリピリしてる」と、精神的にも身体的にも追い詰められているといいます。
キエフ在住 パルホメンコ・ボグダンさん
「緊張感が高まってるっていうのは一つあってですね。近くで大きな音がするときに、やっぱりすごく聞こえますから。今は車が走ってないから静かなんですよね、基本的には。だから銃撃とか爆撃の音っていうのは非常に聞こえます」
ボグダンさんは、先月24日から防空壕(ごう)での生活を送っています。
ボグダンさん
「ひとつは食料が不足している状況ですね。本当に普通に慣れた生活ではないので、精神的にも体力的にも追い詰められる。自分との闘いですよね。ストレスとの闘いが行われてます」
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そして国際社会では、両国の演説に対照的な対応がとられました。
日本時間の1日夜、EU(=ヨーロッパ連合)の議会で、ゼレンスキー大統領は「EUのメンバーになるために奮闘しています。光は闇に勝つ!ウクライナに栄光あれ」と演説しました。
ウクライナのEU加盟支持の訴えに対し、EUの議員らからはスタンディングオベーションが起きました。
一方、国連人権理事会で、ロシアのラブロフ外相がオンライン形式で演説すると、アメリカやEUなどの代表団が続々と退席し、国際社会の受け止めの差が浮き彫りとなりました。