相次ぐ爆発…中国経済成長で労働者不足も
<中国・天津市>
爆発事故から約1か月たった天津市ではガレキの撤去作業が追いつかず、その爪痕は残されたままでした。
先月12日、化学物質を保管する倉庫で起きた未曾有の爆発事故。これまでに死者は165人、8人の行方がわかっていません。
爆発現場から1キロの距離にあるマンションでは、爆風によって壊れた窓はビニールシートで簡単な補修がされているだけでした。私たちはこのマンションに住む日本人の男性に出会いました。部屋を見せてもらうと、窓ガラスは割れ、窓枠が風圧で室内にめり込んでいます。
「(修理には)まだまだかかるから引っ越しをする」-修復のメドが立たず、男性は引っ越しを余儀なくされたといいます。
爆発の原因が明らかにならない中、地元政府は事故現場を緑地化し、“エコパーク”として整備する計画を発表。インターネット上では「何も解決していないのに、慌てて良く見せようとしている」などと批判も出ています。
中国では化学工場の火災や爆発事故が相次ぎ、わかっているだけで、この1か月に7件の事故が起きています。
<中国・山東省>
2件の爆発事故が起きた山東省では、人々が暮らす、すぐそばにある工場で曲がった屋根がそのままの形で残っていました。
市民からは工場に対する不満の声が…。
地元住民「(建設時の)契約書に何の工場か書いてない。ゴム工場と言っていたのに化学工場だった」
工場側が土地を借りる際に住民と交わした契約書には、何の工場なのか明確な記載はありませんでした。
「住民は何の工場か知らないと言っているが何をつくっている?」という私たちの問い掛けに、工場関係者は「分からない」と答えました。
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相次ぐ爆発は経済の急成長に伴う労働者不足が背景にあるといいます。
中国の化学プラント事業に詳しい『上海華鐘投資コンサルティング』の古林恒雄氏は「(労働者は)仕事内容に見合うだけの教育を受けていない。知識がないまま危険物を扱っているのが実態」と説明します。
中国では化学工場の誘致計画が持ち上がるたびに近隣住民による反対運動が起きていますが、工場側の十分な説明はなく市民の不安は募るばかりです。