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中国で大規模“お見合い大会”開催のワケ

2015年11月6日 19:05
中国で大規模“お見合い大会”開催のワケ

 中国・上海で大規模なお見合い大会が開かれた。参加した若者たちの話から、中国が抱える社会問題が浮かび上がってきた。


【“独身”が社会問題に…背景には】
 開かれたのは“一万人お見合い大会”とよばれるイベント。主催は上海市の政府部門だ。中国では、都市部を中心に晩婚化が進んでいて、国をあげた対策が進められている。上海市政府の幹部は、会場でこうスピーチしていた。

 「独身の若者が大きな社会問題となっています」

 背景にあるのは、36年ぶりに廃止が発表された中国の人口抑制策である“一人っ子政策”。跡取りとして男の子を希望する家庭が増えた結果、中国全体で男性が女性よりも3000万人以上多い状況となった。参加者はこう話す。

 「一人っ子の政策で男の子を喜ぶ考えがあります」「(恋人を探すのは)男性は難しいですね」

 しかし、晩婚化の原因は男女比以外にもあるようだ。


【求められる“条件”】
 中国北部、遼寧省出身の馬一鳴さん、24才。普段の生活では、異性と出会うチャンスが少ないという。司会に「恋人の条件は?」と聞かれた馬さんはこう答えた。

 「具体的な条件は無いけど、感じがいい人」

 自己紹介の時には「具体的な条件はない」と話した馬さん。しかし、個別に話を聞くと――

 「家を持っている方がいいです。私は持っていないので。仕事は安定していればいいです。年収は20万元(400万円弱)ぐらいあれば」

 住宅と年収は譲れない条件と熱弁。男性陣にも熱心に職業を聞いていた。馬さんのように、経済的な条件を求める女性は、格差が広がる今の中国では珍しくない。壁に貼られた独身の男女のプロフィールを見てみると、顔写真はなく、身長・学歴・年収・職業などが書かれていた。主催者によると、参加者はまず職業や年収などが希望を満たしているかを確認。顔写真などの“見た目”は経済面に比べて、重要視されない場合が多いという。馬さんはこう語ってくれた。

 「外見だけでは食べていくことはできないでしょ。それなりでいいです」

 会場には若い男女に混じって、親の姿もあった。本人より親のほうが条件を重視する家庭もあるという。36歳の娘を持つ父親はこう話す。

 「相手を探しています。見つけたら電話で連絡します」


【“恋愛相談会”も開催】
 また、恋愛がうまくいかない若者を対象にした相談会も開かれていた。参加した男性は「今の中国では、住宅を持っていないと女性と交際することができない」と嘆いていた。

 現在、都市部では住宅価格が高騰していて、若者の平均賃金では購入は難しいとされている。専門家は「住宅なしで結婚するには、十分に話し合いをし、経済力以外の魅力を理解してもらうしかない」と話していた。そして、問題点は――

 「ほとんどはコミュニケーションの問題です。一人っ子が多いから、付き合うのが上手ではないだけです」

 景気が減速する中、中国でも進む少子高齢化や介護の問題にも影響を与える晩婚化の傾向は、今後も深刻化する可能性が高まっている。