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“異例の若さで”大英博物館に小松美羽作品

2015年11月24日 20:01
“異例の若さで”大英博物館に小松美羽作品

 先月、イギリスの大英博物館に日本人アーティスト・小松美羽さんの作品が所蔵された。生存している作家の作品が博物館に展示されるのはきわめて異例なことだという。一体どんな人物なのだろうか。

■美しすぎる銅版画家として―
 人気雑誌の取材で、都内のスタジオを訪れた現代アーティスト・小松美羽さん(30)。小松さんは、20代の頃から“美しすぎる銅版画家”として注目され、数々のメディアに出演してきた。その美貌からは、想像もつかない独特の作品を作り出すのが彼女の魅力だ。

 彼女の名を一躍有名にしたのは、大学生のときに制作した銅板画「四十九日(2005年)」。先頭を歩くのは小さい頃に飼っていたうさぎ、ラクダに乗るのは亡くなった祖父の魂―大切な家族が成仏する姿を描いた小松さんの「死生観」を表す作品だ。京都の呉服屋などからは「四十九日」をモチーフにした依頼が殺到。しかし、うれしい反面ジレンマもあった。

 小松さん「自分では新しい作品を作っているのにそっちを見てもらえない。自分の力量がないのかなとか…」

■自身の“代名詞的作品”を切断―
 「四十九日」を超える作品が生まれず、理想と現実の間で悩む日々が続いたという。彼女が、過去の自分から脱却するため向かったのは「四十九日」が誕生した母校。ここで代名詞とも言える「四十九日」の原版を切断した。すべては新しい自分に挑戦するために。

 その後、小松さんは、銅版画にとどまらず絵画にも挑戦していく。小松さんが描いた絵は、去年、島根・出雲大社に奉納された。様々な分野で活動の場を広げ、そして、今年挑戦したのは、「こま犬」の制作。小松さんが描いた作品をもとに、有田焼の職人が型を作り、焼き上がったものに絵付けをした。一筆一筆、複雑な細かい線でかかれた体毛。迫力のある“こま犬”が完成した。

■大英博物館がほれ込んだ作品
 その「こま犬」が、大英博物館の学芸員の目に留まり、所蔵されることになった。イギリスにある大英博物館は、約800万点の収蔵品がある世界最大級の博物館。実は、30歳と若く存命するアーティストの作品が大英博物館に所蔵されることは極めて珍しいという。

 大英博物館・ニコル学芸員「力強い。実物の作品をみたときに一目ぼれ。こま犬は守り神。ある意味、大英博物館の守り神になるのかなと」

 銅版画家だけでなく現代アーティストとして、世界でも活躍し始めた小松さんが今後の夢をこう語る。

 「ロンドンで培った縁を大切にして、ここの現地で絵を描いて個展をする。いろんな国でもっと勉強して、たくさん吸収して、いろんなところで作品を作り上げていきたい」