未来の“自動運転”を先取り体験!
人が操作しなくても自動で走行できる車。その技術が、アメリカで次々とお披露目されている。日本で走る車にも搭載が始まった自動運転の一部の機能を、木村真二郎記者が一足先に体験した。
■最新技術が続々と!
アメリカ・デトロイトで開かれている世界最大級のモーターショーで、各メーカーはこぞって最新の技術や次世代の車を公開した。会場には車体が透明な車もあり、自動運転に欠かせないカメラやセンサーが歩行者などを認識する仕組みを分かりやすく展示している。また、ドイツのメルセデス・ベンツは、この夏アメリカなどで売り出す車に、自動運転の技術を一部搭載。ハンドルを離しても車線の真ん中を走る事ができるほか、車自らがまわりの状況を判断し、車線を変更することができると発表した。
■自動運転を体験「人間より上手」
その自動運転を支援する機能を一足先に実用化させたメーカーが、シリコンバレーを拠点に電気自動車を製造するテスラ・モーターズだ。実際に自動運転車に乗ってみると、アクセルから足を離しても車が自動で進むという状況に不思議な感覚を覚えた。センサーが高速道路上の白線を読み取り、車線の中央を走る。さらに、車線変更も自動で行う。ウインカーを出すとハンドルが自動で動き、前の車との距離も測ってしまう。そのほかにも、狭いスペースに自動で縦列駐車する技術も搭載されている。その精度は、思わず「人間より駐車が上手です…」と声が漏れてしまうほどだ。テスラのこの技術は、日本では、ハンドルから手を離さないことを前提に国土交通省も承認。日本で走る車にも取り入れられることになった。テスラ・モーターズのリカード・レイエス広報責任者はこう話す。
「自動運転の技術はすぐに開発できると思う。今から数年後には完全な自動運転車ができると思う」
■“人工知能”に“ウエアラブル”
将来的には人為的な交通事故はなくなり、渋滞も緩和されると期待される自動運転。その実現に向けた競争は、1月にラスベガスで開かれた家電見本市でも繰り広げられた。トヨタ自動車は、人工知能を搭載した車が人やモノに衝突しないよう学習した後、その情報をまわりの車と共有することで事故は起きなくなるとアピールした。また、韓国の起亜自動車は腕時計型のウエアラブル端末に「迎えに来て」と呼びかけると、自動で車が迎えに来るという将来の自動運転の構想を明かした。
■日産が目指す“完全な自動運転”
そうした中、日産自動車は“完全な自動運転”に向けた研究の途中経過を公開した。目的地を設定するだけで30分近く自動で走る車。カメラやセンサーが信号や道路標識などを読み取り、右折も左折も自動で行う。さらに、歩行者の動きも感知し、自動でブレーキをかけた。難しいのは高速道路への合流や車線変更の判断だという。
「ここは非常に複雑なところ。後ろから車が来ているので、諦めようかな、どうしようかなとやっぱり行った。ここが判断として限界に近い」
自動運転中の車内で、日産の飯島徹也部長はそう語った。そして、日産の目標は――
「2020年までに一般道で走らせることがいまの目標」
新たな企業も加わり開発競争が激しさを増す“自動運転”。事故が減少するなど安全につながるとされる技術は車の未来を変えるのだろうか。