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米大統領選 共和党トランプ氏の敗北のワケ

2016年2月5日 18:46
米大統領選 共和党トランプ氏の敗北のワケ

 2016年11月のアメリカ大統領選挙の候補者を決める初戦が2月1日、アイオワ州で行われた。野党・共和党は事前の世論調査に反し、トランプ氏が敗北。その原因は何だったのだろうか。


■敗北のトランプ氏…しかし支持者は

 その後の選挙戦を左右すると言われるアイオワ州の初戦。野党・共和党では、全米で支持率トップのトランプ氏が上院議員のクルーズ氏に敗れた。トランプ氏は壇上でこう語っていた。

 「周りからは『アイオワには行くな!10番目にも入れないから』と言われた。それが2位にまでなれて光栄だ」

 それでも支持者は今後の戦いに期待を寄せた。

 「他の州では勝ちますよ。アイオワでの敗北は気にしません」

 敗北しても根強い人気のトランプ氏。なぜなのか?


■トランプ氏人気のヒミツ

 トランプ氏を支持するジョージ・ダベイさん(49)は、去年11月、自宅の敷地にトランプ氏の大きな写真を自前で設置した。汚れてしまった時のために、予備の写真まで用意していて、ダベイさんの両親や妻もトランプ氏を支持しているという。

 ダベイさん「彼は言うべきことを言える人物です。その発言がどう思われるとか、誰かを傷つけるということを心配しない」「(トランプ氏が選ばれたら)また元のすばらしい国に戻れると信じている」

 テロ対策や移民問題に関する過激な発言や、現政権への歯に衣(きぬ)着せぬ批判などに強いリーダーシップを感じるのだという。


■トランプ氏が敗れた原因

 アイオワ州の共和党支持者の約6割を占める(2012年 ラスムセン調べ)と言われる「キリスト教福音派」の支持を広げることができなかったからだ。

 「福音派」とは聖書の教えを忠実に守る保守層のこと元々、「福音派」が支持基盤の一つであったクルーズ氏は、この支持を確実に固めて接戦を制した。「福音派」は「聖書の教えに反する」として、妊娠中絶や同性結婚などに反対し、政治の世界でも大きな影響力を保っている。

 去年3月、クルーズ氏がバージニア州のリバティー大学で出馬宣言を行った。ここは「福音派」の象徴的な存在として知られている。

 リバティー大学を訪ねてみると、日が落ちたキャンパスに学生たちが続々と集まっていた。聖書の教えをわかりやすく教えるため開かれた集会に参加するためで、この日は5000人以上が集まった。

 心理学の授業でも教えが深く根付いている。

 心理学の教師「人間の心理を考える際には、神についても考えましょう。人間とは神の創造物ですから」


■サンダース氏の大躍進

 一方の与党・民主党。大本命の前国務長官クリントン氏は、サンダース上院議員とまれにみる大接戦となった。(アイオワ州の党員集会開票結果 クリントン氏49.8% サンダース氏49.6%)

 その理由は、サンダース氏が大躍進したからだ。手厚い社会保障を訴え、将来に不安を抱える若者を中心に広く支持を集めたサンダース氏。その勢いは“ある場所”にも表れていた。

 地元で人気のあるレストランでは、投票前日にコーヒー豆を使って投票する“模擬投票”が若者たちによって行われていた。候補者への人気投票を独自に行っているこの店では、サンダース氏のコーヒー豆の数がクリントン氏の2倍になっていた。

 クリントン氏と互角に戦えるという強い印象を残したサンダース氏。来週の第2戦・ニューハンプシャー州は圧倒的リードを保っており、クリントン氏がどこまで食い下がれるかが焦点となる。