【解説】中国「人口減少」…新生児“100万人減”で少子化に歯止めかからず 日本にも早い段階で影響が?
中国の人口は現在14億人を超え、世界第1位となっていますが、去年は61年ぶりに人口が「減った」という発表があり、世界に衝撃が走りました。日本へはどんな影響があるのでしょうか。
◇赤ちゃん“100万人減”
◇金ピカ婚と「寝そべり族」
◇影響「早い段階で」
以上3点について詳しくお伝えします。
中国政府は、去年末の中国本土の人口が推計で14億1175万人となり、前の年から85万人減少したと発表しました。これは1961年以来、実に61年ぶりの出来事です。
1961年というのは、政策の失敗で飢饉(ききん)が発生し、多くの餓死者を出していたという特殊な事情がありました。ですが、去年の人口減は急速な少子化によるもので、中国が本格的な「人口減少時代」に突入したという見方ができます。
人口が減った大きな理由は、「子どもが生まれない」ということです。中国といえば、人口爆発を抑えるための「一人っ子政策」が1979年から30年以上続いてきました。これは、1組の夫婦が産める子どもは1人までに制限されていて、制限を超えると罰金も科されていました。
ただ、急激な少子高齢化が進んでしまったために、2016年には第2子まで容認、そして、2021年には第3子まで容認と徐々に緩和されてきました。
それでも、少子化に歯止めはかからず、去年1年間に生まれた子どもの数は956万人と、前の年の1062万人と比べて100万人以上減ってしまいました。
では、なぜ子どもが生まれなくなっているのか。東京財団政策研究所の柯隆(カ・リュウ)主席研究員に聞きました。
大きなポイントとしては――
(1)「一人っ子政策」の名残
(2)経済的な負担
(3)若者の価値観の変化
の理由があるといいます。
◇理由(1)「一人っ子政策」の名残
30年以上続いた一人っ子政策で、男女の人口バランスが大きく崩れてしまったということです。特に農村を中心に男の子が労働力として重宝されたために、女児を人工的に流産させるという事例が相次いだそうです。
そうしたことから今、中国では女性より男性の方が3300万人ほど多くなっているということです(※国家統計局)。なので、男性が結婚できないということが大きな社会問題になっています。