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首相、国王、サッカー選手も“租税回避”か

2016年4月5日 16:36

 世界各国の調査報道を行うジャーナリストでつくる「ICIJ」は3日、独自の調査で、政治家や著名なサッカー選手など140人以上が脱税目的などで資金を隠す温床とされる「タックスヘイブン(=租税回避地)」を使って巨額の金融取引を行っていたと発表、波紋が広がっている。

 ICIJによると、調査は中米パナマの法律事務所から流出した文書をもとに行われた。この文書にはパナマなどタックスヘイブンの21万社以上の情報が含まれ、中には、アイスランドの首相やサウジアラビア国王、ウクライナの大統領など、現職や元国家指導者12人を含む140人以上の政治家が金融取引を行っていた証拠があるという。

 また、ロシア・プーチン大統領の側近らがタックスヘイブンを通して少なくとも2200億円に及ぶ取引を行っていたとしている他、中国・習近平国家主席の親族や李鵬元首相の娘夫婦などもタックスヘイブンにある会社を通して取引を行っていたと指摘している。

 さらに調査では、サッカー「バルセロナ」に所属するリオネル・メッシ選手もタックスヘイブンを利用していたとしている。

 こうした発表に対し、ロシアの大統領報道官は4日、「具体性がなく、プーチン大統領を標的にしてロシアの政情不安を狙っている」と非難した他、アイスランド首相も「やましいことはない」と反論している。

 税金がゼロか極めて低いタックスヘイブンをめぐる取引は大半が合法だが、税金逃れやマネーロンダリング(=資金洗浄)につながるとの指摘もある。

 ロイター通信によると、フランス、アメリカなどの当局が違法行為がなかったか捜査に乗り出すなど、影響が広がっている。