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日露首脳 領土問題交渉で一致もなお隔たり

2016年5月7日 17:56
日露首脳 領土問題交渉で一致もなお隔たり

 安倍首相は6日、ロシアのソチでプーチン大統領と会談し、北方領土問題の解決に向けて「新たなアプローチ」で交渉を進めることで一致した。しかし、両国の思惑には隔たりもみられた。

 安倍首相は今回、エネルギー開発や極東地域の産業振興など8項目にわたる経済協力プランを提示した。また、北方領土問題については、「新たなアプローチ」で交渉を進めることで一致した。

 しかし、現在のロシアにとって、北方領土問題はそれほど優先度が高い課題とはいえない。原油価格の下落やウクライナ問題にともなう国際社会からの孤立などで低迷している経済の立て直しが急務となっている。会談にも経済担当の閣僚や国営の石油会社の社長などを同席させて、日本からの投資を引き出そうとしていた。

 一方で、領土問題をめぐっては会談前からプーチン大統領の周辺やロシアの外交専門家が、「すぐに大きな進展は望めないだろう」と指摘していた。

 会談後の記者会見を、プーチン大統領ではなくラブロフ外相が行ったことにも、今回の会談に対するロシアの評価がうかがえる。

 領土問題解決を目指す日本と、経済関係の強化に力を入れたいロシア。今回の会談では、両国の思惑のすれ違いが改めて浮き彫りになったといえる。