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アジア安保会議閉幕 中国に“焦り”も

2016年6月5日 19:21
アジア安保会議閉幕 中国に“焦り”も

 日本など各国の防衛トップらが参加した「アジア安全保障会議」が5日、閉幕した。中国は南シナ海の領有権をめぐって、仲裁裁判所の判断には従わないと強気の姿勢を示す一方で、国際社会の理解を得ようと活発な動きをみせた。

 最終日に演説した中国軍の高官は、フィリピンの申し立てに基づき国際的な司法機関である仲裁裁判所が審理している南シナ海の領有権問題について、いかなる判断も受け入れないと強調した。

 中国・孫建国副参謀長「仲裁裁判所の審理はフィリピンの違法な要求に基づくものであり、(裁判所に)管轄権限はない」

 こうした強気の一方で、国際社会での世論作りにも余念がなかった。会議期間中には領有権をめぐって対立するベトナムも含め、15か国と二国間会談を行ったほか、各国の報道関係者には自らの主張を英語で記した冊子まで用意する周到ぶりだった。しかしアメリカは批判の手を緩めなかった。

 アメリカ・カーター国防長官「海洋進出が続けば、中国は自らを孤立させる『万里の長城』を築きかねない」

 この発言に対して、中国はすぐさま「孤立はしていない」と反論した。

 仲裁裁判所の判断が近く出されるとの見通しの中、今回の会議は強気の一方で、国際社会の圧力を少しでもかわそうとする中国のいわば焦りのようなものが垣間見えるものとなった。