トランプ氏“イメージ戦略”から変化のナゼ
今週、候補が出そろったアメリカ大統領選挙。共和党の正式な候補となったのが、過激な発言で人気を集めてきたドナルド・トランプ氏だ。ところが最近、トランプ氏に変化が見られるという。
共和党大会最終日。娘のイヴァンカさんの紹介を受けて登場したトランプ氏。
トランプ氏「クリントン氏の遺産は死・破壊・テロ、そして弱さだ」「クリントン氏を打ち負かそう!」
大会で目立ったのは「派手な演出」。細部にトランプ氏自身のこだわりが反映されたものだという。
トランプ氏の元側近に話を聞く事ができた。
トランプ氏の選対元幹部のマイケル・キャプト氏「特にこのステージには、巨額のお金がかかっています。トランプ氏自身もデザインに関わったんですよ」
この「見た目重視」「イメージ先行」に見える戦略に、ある変化が起きているというのだ。
私たちは、アメリカ・フィラデルフィアへ飛び、ファクトチェックという団体のユージーン・キーリー所長を訪ねた。この団体は大統領選の候補者の発言にウソがないかをチェックしている。
例えば去年6月、トランプ氏がアメリカの経済成長について話した演説。
トランプ氏「アメリカのGDP(=国内総生産)は、一度もマイナスになったことはない」
しかし、実際のデータを見ると…
キーリー所長「(アメリカの)GDPは1946年以降、42回もマイナスになっています」
発言の中に、間違いが多くあるというのだ。
キーリー所長「トランプ氏を『ウソつきの王様』と名付けました」
一歩間違えば致命傷になりかねない発言。当初は気にする様子もなかったトランプ氏だが、ここに来て新たな対策に乗り出したという。今月11日、私たちはバージニア州の会場で、その一端を見つけた。
演壇で準備するスタッフたちの中に何かをチェックする人の姿が。演台に実際に上ってみると、演説で読む原稿を映す「プロンプター」という機械が設置されていた。
実は発言での間違いを防ぐため、トランプ氏はプロンプターを使って「原稿を読む」ようになったというのだ。
実はトランプ氏、以前はプロンプターについて「私はプロンプターなんて使わない。聴衆の前に出たら、プロンプターなんて使わず、気持ちで話すんです」と揶揄(やゆ)していた。
この発言からわずか半年。なぜ、変化が起きたのでしょうか。
キャプト氏「予備選を通じての彼の支持者は、今後も支持してくれるでしょう。トランプ氏は支持層を広げる必要があるのです」
過激な発言だけではなく、新たな支持層の拡大が必要だという。
トランプ氏は今後、どう変わっていくのか。その戦略がさらに問われる事になる。