アイスランド「1000年ぶり噴火の活動期か」 富士山でも起こりうる“割れ目噴火”
アイスランドのレイキャネス半島で昨年末から火山噴火が相次いでいて、地震・火山の専門家である名古屋大学の山岡耕春教授は「レイキャネス半島では約1000年ぶりに噴火の活動期に入った可能性があるので注意が必要だ」としています。
ロイター通信などによると、今回の火山噴火はアイスランドの首都レイキャビクの南西にあるレイキャネス半島の海岸沿いの町、グリンダビークから北東に約4キロの地点付近で去年の12月に始まり、年が明けた今年2月までに3回にわたって活発な噴火が繰り返されました。
2月8日の噴火では、明け方に地震活動が発生、その30分ほど後に噴火が始まり、アイスランドの気象局によれば、噴煙は上空3キロまで上がったということです。
また、1月の噴火の際には溶岩流がグリンダビークの郊外まで達し、いくつかの家屋が燃え上がったということです。
◼️流動性が高い溶岩が大量噴出する「割れ目噴火」
この噴火は、割れ目噴火と呼ばれる、地面に割れ目ができたところから溶岩が流れ出すもので、2月の噴火の割れ目の長さは約3キロにも及んでいるということです。
割れ目噴火は、アイスランドやハワイでよく発生しており、流動性が高い玄武岩質の溶岩が大量に噴出されるのが特徴です。日本でも三宅島や伊豆大島の三原山で割れ目噴火が起きています。また、富士山の噴火でも割れ目噴火が起きるということです。
火山が多いアイスランドは、日本と同じようにプレートとプレートの境界に位置していますが、日本ではプレートがぶつかりあって片側のプレートが沈み込んでいるのに対して、アイスランドでは逆にプレート同士が離れていく場所となっています。このため、アイスランドでは地球内部からマントルが湧き出て、常にマグマが生産されています。
今回の噴火でもマグマが地殻の深くに多くたまったものが地表近くまで上ってきた結果、地面に割れ目を作って流れ出てきたものです。
◼️約1000年ぶりに噴火の活動期に入った可能性も
レイキャネス半島の噴火は3年前の2021年から始まり、場所を移して今回も再び噴火したものです。
歴史的には過去4000年ほどの間に、約1000年ごとに噴火活動が活発な時期があったということで、山岡教授によると「約1000年ぶりに噴火の活動期に入った可能性が高い。数十年から100年といった期間で噴火活動が繰り返される可能性があり注意が必要だ。また、流れ出た溶岩は時速1キロほどのゆっくりした速さで流れるため、溶岩流から人が逃げることは比較的たやすいが、亜硫酸ガスが大量に放出されるので、そのガスによる健康への影響が懸念される」ということです。
また、また今回噴火した場所のそばには地熱発電所や露天温泉としては世界最大級の高級温泉施設のブルーラグーンがあるほか、首都などに温水を運ぶパイプラインも通っています。溶岩は道路にあふれ、温水のパイプラインも一部で損傷を受けました。
◼️「割れ目噴火」は富士山の噴火でも起きる
日本では歴史的に噴火を繰り返してきた富士山で300年以上も噴火活動が起きていません。富士山で一度噴火が起きると、火山灰などに加え、地面の割れ目からアイスランドと同じように粘性が低く玄武岩質の溶岩が大量に流れだして斜面を下ってくることになります。
過去には静岡県の三島市や山梨県の都留市などにまで溶岩が達したことがあり、いつ噴火が起きてもよいようにその時どうやって命を守るのか準備しておくことが重要です。