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マウイ島山火事 見知らぬ赤ちゃん抱え…自分の子には「私の方は振り返らないでと」

2023年8月15日 20:32

ハワイ・マウイ島の山火事は、日本時間15日になっても、いまだ被害の全容が見えません。

8日、ラハイナでカメラは、2階建てのリゾートマンションが燃え上がる様子を捉えていました。撮影者は、火の手から逃れるため施設のプールに飛び込みました。ハワイ州知事によると、530℃を超える高温の炎が時速約130キロで駆け抜けたといいます。

家族と車で逃げていた女性は突然、窓をたたく音に気づいたといいます。

女性
「おばあさんが助けを求めていたんです。『赤ちゃんがいるの、助けて』って」

避難する車で渋滞する中、女性は見知らぬ赤ちゃんを抱き、走って逃げることになったといいます。

女性
「自分の子どもには、『走りなさい。私の方は振り返らないで』と伝えました。9歳の娘は『できない』と言い続けていました」

フェンスを乗り越え、女性は家族と赤ちゃんとともになんとか逃げ切りました。赤ちゃんの家族も無事逃げることができたということです。

しかし、亡くなった人は、これまでに確認されているだけで99人にのぼっています。捜索は難航していて、州知事はCNNの取材に、今後10日間で死者数が倍増する可能性があると答えました。

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被害はマウイ島の内陸部にも及んでいます。私たちは内陸の街、クラを訪ねました。住宅があったとみられる場所は、完全に焼け落ちてしまっていました。その前にとめてある車も完全に焼けていました。

焼け残ったものを探しに来た住民の姿も見られます。

被災した住民
「山火事の1週間前に引っ越してきたんだ。そして…見て分かるように焼けてしまって全てを失った」

住民が発見したカメラは、原型をとどめていませんでした。

この土地で長年暮らしていた別の男性は、山火事の発生前には友人を呼ぶこともできるお気に入りの家があったといいますが「全てがなくなってしまった。全てが…」と嘆いていました。

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被災した地域では今、復旧を阻むような“問題”も起きています。

被災した住民
「やっと水が出たが、汚染されている。この水では風呂にも入れない」

火災で水道水に有害物質が混入したおそれがあるのです。地元の水道局などは水を飲んだり、温めたりしないよう呼びかけていて、飲み水など生活用水の確保なども課題となっています。