ウクライナで戦う父を思い…遠い地での避難生活、子供たちの支えは
ウクライナに残って戦う父親と離れ離れの避難生活を送る子どもたち。国境の今を取材しました。
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ウクライナとの国境に近いポーランドのプシェミシル。学校に設けられた避難所で1人の女の子に出会いました。
ウクライナから避難ヴィカちゃん(5)「ウクライナの国旗だよ」
キエフ近郊から避難してきた5歳のヴィカちゃん。戦火の記憶がよみがえり、突然、涙を流すことがあるといいます。
ヴィカちゃん「ウクライナでは夜眠れないし、落ち着いてごはんも食べられない。爆撃が怖くて持っていたお皿を落としちゃった」
受け入れ先が決まらず、長引く避難所での生活。ヴィカちゃんと兄のアルテムくん(9)は、体調を崩す日が増えました。
母親「お薬飲んでね。ちゃんと両手で持って」
そんな避難生活の支えとなっているのが、ウクライナに残って戦っている父親との電話です。
アルテムくん「パパ元気にしてる?」
父親「うん元気にやってるよ」
会いたくても会えない父親の声にあふれる涙…。
母親「泣かないで。避難生活も少しずつ慣れるよ。落ち着いたら学校に行って新しい友達ができて楽しいこともきっとあるよ」
ウクライナから国外に避難した人は、327万人を超えました。その半数が子どもたちです。
国境を越えて10日目を迎えたこの日、ボランティアからある知らせが届きました。
ボランティア「みなさんの受け入れ先が決まりました。行き先はドイツのケルンです」
この避難所での生活は限界だと感じていた母親。ドイツには友人も知人もいませんが、すぐに行くことを決めました。
アルテムくん「(ドイツに行けば)家とベッドがあるから、やっとたくさん寝られるね」
ふるさとから遠く離れることへの不安もあります。
アルテムくん「ウクライナのおうちに帰りたいな。パパのところに戻れる日は本当に来るの?」
母親「もちろん戻れるよ。もう少し我慢しないといけないけどね」
家族4人、またウクライナで暮らせる日がきっとくる。その日を信じて歩んでいきます。