中国“コロナ解雇”で暴動…元従業員と警察がもみ合いに 日本では“薬の爆買い”に厚生労働省が対応要請
中国で「ゼロコロナ政策」の急転換による混乱が続いています。抗原検査キットなどは需要が一気になくなり、突然解雇された元従業員たちがデモを起こすなど、暴動が相次いでいます。さらに、先月底をついた解熱鎮痛剤の在庫が回復しつつありましたが…。
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11日、12年前に日本国籍を取得したという女性が、東京・江東区の中国ビザ申請センターにきていました。
中国へのビザ申請に来た人
「ビザもらいたいですよ。中国帰りたいのに…。ビザもらいたい。(申請に)行ってみたら、きのうから中国に行くためのビザが停止されてた」
ふるさとの中国にどうしても帰らなくてはならない理由がありました。
中国へのビザ申請に来た人
「母さん1年前に亡くなって、当時、隔離で帰れなかった」
母親とは、亡くなってからまだ1度も会えていないといいます。
中国へのビザ申請に来た人
「一番悲しいのは母親。寂しいですよ…」
10日、中国政府が突然、日本人に対するビザの発給の一時停止を発表しました。さらに11日、これまで中国を経由して第三国に行く際、ビザがなくても一定時間の滞在を認めていましたが、これらの措置も一時停止すると発表しました。中国からの渡航者に対し、日本が水際対策を強化したことの対抗措置とみられています。
11日、松野官房長官は中国の対応に抗議した上で、外交ルートを通じてビザ発給停止の撤廃を求めたということです。
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中国政府の対応に日本で混乱が起きる中、中国では「ゼロコロナ政策」の急転換による混乱が続いています。
私たちは先月末までコロナ対策で使われていた隔離施設を取材しました。鎖で閉じられた扉から顔を出したのは、この施設で働いていたという男性です。
――いつからここで仕事を始めた?
隔離施設で働いていた男性
「去年の10月ごろから」
――給料は1か月いくら?
隔離施設で働いていた男性
「だいたい5000元(約10万円)です」
施設はすでに清掃が始められていて、今後はマンションとして利用されるといいます。そのため、男性は仕事を失い、月10万円ほどの収入がゼロになりました。
――仕事が急になくなることについて
隔離施設で働いていた男性
「また探せばいいよ」
こうした仕事を失った人は各地で相次いでいて、暴動も起きています。中国・浙江省の杭州市では、抗原検査キットなどを製造していた会社の従業員が突然解雇され、抗議デモを起こしていました。
警察が出動し事態を抑えようと交渉します。
警察官
「あなたたちの代表者は誰ですか?」
元従業員
「代表者はいません」
日が昇ってもデモは収まらず、警察はドローンを使って警告しました。
警察のドローン
「ただちにやめてください、さもないと連行します」
元従業員と警察官がもみ合いになる場面もありました。
デモの参加者
「警察官が先に手を出したのよ!」
「警察は女性を殴った、本気でやったんだ!」
中国メディアによると、この会社では年末に検査キットの増産のため数千人の従業員を雇いましたが、政策の転換で需要が一気になくなり、解雇した可能性があるということです。
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ゼロコロナ政策の緩和から1か月あまり。中国各地で混乱が広がり感染者は増え続けていますが、中国のネット通販のサイトには解熱剤がたくさん売られていて、先月は底をついた在庫が回復しつつありました。
しかし、11日、埼玉・川口市にある薬局に訪れていた中国人夫婦に話を聞くと――
中国人
「(薬は)不足なんです、足りないです」
「私たぶん10個ぐらい買った」
中国の人々に日本の薬は依然として人気で、日本で買った方が値段も安くすむといいます。
こうした薬の爆買いを受け、厚生労働省は薬局やドラッグストアの協会に対し、購入の個数制限などの対応を要請しました。
ウエルシア川口駅東口店 店長
「本当に必要な方が、薬が欲しいと思ったときに手に入るように、こちらも準備してまいりたいと思っています」
厚労省によると、解熱鎮痛剤などの市販薬はいまのところ安定供給できているということです。