イギリスで14年ぶり政権交代が確実視…背景に「国民の生活苦」【中継】
イギリスで4日、650人の下院議員を選ぶ総選挙の投票が始まりました。最大野党・労働党が圧勝する見通しで、14年ぶりの政権交代が確実視されています。
14年ぶりの政権交代が予想されていますが、その原因はどこにあるのでしょうか?
ロンドンから中継です。
背景にあるのは「国民の生活苦」です。
イギリスでは、ロシアのウクライナ侵攻後に一時、10%を超えたインフレが生活を直撃しました。2020年のEU=ヨーロッパ連合離脱もインフレを後押しし、イギリスへのビジネス投資を停滞させる結果を招きました。
いまや国民の半数以上が失敗だったと考えているEU離脱を実行した保守党に、批判の矛先が向かった形です。
労働党のスターマー党首は「絶望的な時代に終止符を打ち、我が国を真剣に再建する時だ」と「チェンジ」を合い言葉に、保守党との違いをきわだたせています。
──ロシアによるウクライナ侵攻もこの選挙に影響しているのでしょうか?
侵攻以降、ヨーロッパで大きなテーマとなっている「安全保障」は、今回の選挙でも争点の一つで、熱を帯びた議論が繰り広げられました。
スナク首相が、国防のための兵士が不足しているとして「選択制の兵役」の導入を打ち出す一方、労働党のスターマー党首は核兵器を使う用意があると発言し、従来の反核路線から脱却、「労働党は変わった」と強調しました。
イギリスは核保有国の一つで、核弾道ミサイルを搭載する原子力潜水艦が配備されています。ただ、国民からは、予算は生活の向上に使うべきだとする声も上がっています。
劣勢の与党・保守党は従来の保守層をつなぎとめようと、不法移民をアフリカのルワンダに強制移送する強硬策など、右寄りの政策を打ち出しましたが、支持に結びついていません。むしろ右派のポピュリスト政党「リフォームUK」が、受け皿になっています。
調査では、保守党を上回って、一時、労働党に次ぐ2位に躍進しました。不法移民の拘束など、より過激な政策を掲げており、欧州議会選挙では、右派や極右が議席をのばしていることから、5年後の総選挙では政権をとる、としています。こうした党の台頭は、人々の政治不信の象徴でもあるとされています。
投票は、日本時間あす5日の朝に締め切られ、新たな首相が誕生する見通しです。