チョルノービリ原発の今 ロシア軍が占拠し“放射性物質“の拡散も…
ロシア軍に占拠されていたチョルノービリ原子力発電所の研究施設に、NNNのカメラが入りました。施設内には福島大学の研究施設もあり、そこにもロシア軍による被害の爪痕が残されていました。
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22日、NNNはチョルノービリ原発に向かいました。
記者
「橋が壊されています。跡形もなく、落とされています」
記者
「チョルノービリ原発に到着しました。冷却塔、そして、使われなくなった施設があります。そして、その奥に事故を起こした4号機があります」
原発制限エリア内への立ち入りが再開されてから2日、NNNのカメラがチョルノービリ原発に入りました。
1986年に史上最悪の事故が起きたチョルノービリ原子力発電所。ロシア軍はウクライナへの侵攻直後から、約1か月あまり占拠していました。
今でも放射線量が高い場所では、森を掘り返して向きだしになった土がありました。
記者
「奥にロシア軍が作ったと言われている塹壕が、そのまま残されています」
放射能汚染の知識がないロシア兵が汚染の酷い土壌を掘り起こし、被ばくした可能性が指摘されています。その近くには、ロシア語の新聞が残されていました。
また、原発から十数キロ離れた立ち入り制限区域にある町にも、ロシア軍の爪痕が残っていました。
ロシア兵が占拠したという建物を取材しました。
記者
「ここで、ロシア兵が食事をとっていたのでしょうか。ガス缶・缶詰・コンロもそのまま残されている」
ロシア兵が寝泊まりしたベッドが放置され、鏡にはZマークの落書きがありました。そして、ロシア語で「放射線量記録カード」と書かれた紙も残されていました。裏には、日付、線量などを記録する欄がありました。
チョルノービリ市で働く人
「ロシア軍はどこへ行って、何をするか、(そこに原発があると)理解していたんです」
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また、原発から十数キロ離れたウクライナ政府の放射能研究施設にも被害がありました。
ロシア兵は作業用のトラックなどを破壊し、鉄などが盗まれ、研究施設の内部も被害を受けたということです。
――このパソコンもロシアに壊された?
「はい。そうです」
ロシア兵はサーバーやハードディスクを破壊し、実験用の道具なども破壊されたり、盗まれたりしたため、研究所では十分なデータが集められなくなっていました。
福島大学を中心とした研究室からも、実験器具などがなくなったということです。
福島大学 環境放射能研究所 難波謙二所長
「コンピューターとか、プロジェクターとか、おいてあったはずなんですけど それがなくなっていますね」
また、難波所長は「立ち入り禁止区域の放射線量のデータも見られなくなった」といいます。
福島大学 環境放射能研究所 難波謙二所長
「建物を壊すことで、放射性物質の拡散が起きてしまう。予備知識もなく入っているのは、非常に危険」
施設では復旧作業が進められていますが、地雷の危険もあり、完全復旧のメドは全く立っていないといいます。
放射能研究施設の職員
「支援があれば早めに復旧できます。自分たちだけでは難しいが、絶対に再開させたいです」