韓国側「2人の信頼が深まった」日韓首脳会談 ≪記者リポート≫
韓国側は、尹大統領による初めての日本訪問と首脳会談をどのように評価したのか、ソウル支局原田記者の報告です。
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およそ12年ぶりの相互訪問で、岸田総理とおよそ1時間半会談した尹大統領。
韓国・尹錫悦大統領「両国間の不幸な歴史を克服し、韓日間の協力の新たな時代を切り開く第一歩となったと思います」
共同記者会見では、日韓が軍事機密を共有するために結んだ協定(=GSOMIA)について、韓国側がいつでも破棄できる状態を解消し、完全に正常化すると表明しました。
また、いわゆる徴用工問題で政府傘下の財団が、原告への支払いを終えたあと、日本企業に弁済を求めるいわゆる「求償権」について、日本側では“蒸し返しリスク”を懸念する声も出ていました。
これについて尹大統領は、「求償権の行使は想定していない」と明言し、今後も日本側に実害が及ばないことを強調しました。
一方で、韓国国内では日本側から直接の“お詫び”の表明がなかったことを批判的に見るむきもありますが、韓国政府の高官は「過去の談話が継承され、十分だ」との認識を示しました。
会談のあと、両首脳は2件の飲食店をはしごする異例の夕食会を行いました。韓国政府の高官は、「2人の信頼が深まったのは事実で、政治的不信を取り除くことができた」と評価しました。
ただ、韓国国内では徴用工問題の解決策について反対世論も根強く、一部の原告らは応じない姿勢です。
今後は、尹大統領自らが決めた解決策を、着実に履行できるのかが問われることになります。