“学校ストライキ”世界に広がったワケ
先月、国連で力強い演説を行い、ノーベル平和賞の候補にも名前が挙がるスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさん。たった一人で始めた「学校ストライキ」が広がったワケを取材した。
グレタ・トゥーンベリさん「大量絶滅が始まろうとしているのに、あなたたちが話すことは、お金と永久の経済成長というおとぎ話ばかり。よくもそんなことができますね」
先月、国連で世界のリーダーたちを前に力強い演説を行い、一躍「時の人」となったグレタ・トゥーンベリさん、16歳。去年、たった一人で始めた「学校ストライキ」は、1年後には、街を埋め尽くすほどの人々を集め、世界160か国以上で、のべ700万人あまりが参加する世界運動に発展した。
その波は日本にも─。
高校生「自分より年下の子が活動しているのを見て、すごく影響を受けました」
高校生「アマゾンの森林火災とか、普通ではないことが起きている」
どのようにして広がったのだろうか?
今年8月。ヨットでの2週間の航海を終えてアメリカ・ニューヨークに到着したグレタさん。出迎えたのは、同世代の子どもたちだ。彼らが手にしていたのはスマホ─。
「みんな!グレタの到着をライブで見てね!」
SNSでライブ配信していたのだ。
ニューヨークに住む中学生・アレクサンドリアさん(14)も、インターネットでグレタさんを知った。
アレクサンドリアさん「グレタさんの演説を初めて聞いた時“私たちの世代の声”となっていて感動しました」
演説に共感し、去年、初めて学校を休み、一人で国連本部前で座り込んだ。その頃、学校ストライキを続けるためのアドバイスを求め、海の向こうにいるグレタさんに連絡するために使ったのもツイッターのメッセージ機能だった。
すると、「寒い時は、寝袋とお湯を持参しています」との返信が。さらに…。
アレクサンドリアさん「『続ければ、何か大きなものになるから、やめないで。いつかアメリカ行きの船を見つけて、一緒に活動しましょう』と、グレタさんは、将来に向けてアドバイスしてくれた」
その言葉に励まされ、アレクサンドリアさんは10か月以上、毎週金曜日に学校を休み、国連前に通い続けた。今では、活動を共にする仲間もできた。
その活動もオンラインツールを活用。放課後には、ビデオチャットで世界中とつながり、交流している。
SNSを通して活動の裾野を広げていった「学校ストライキ」。学校を休むという手法に疑問の声も出るが、選挙権のない子どもたちにとって、主張を伝える手段なのだと言う。
アレクサンドリアさん「5年、10年、15年後は、気候問題が解決して、私たちがもう学校を休まなくていいようになっていることを願う」
一人の少女から始まり、世界中の子どもたちに広がったこの運動。世界のリーダーたちの行動につながるか、注目されている。