×

中国とロシア“接近”に見えて……思惑に「3つのズレ」 専門家「中国は二股をかけて調停役を演じたい」 習主席の訪露は?

2023年2月24日 9:04
中国とロシア“接近”に見えて……思惑に「3つのズレ」 専門家「中国は二股をかけて調停役を演じたい」 習主席の訪露は?

ロシアを訪れた中国の政治局員に対し、プーチン大統領は、習近平主席の訪露を「期待している」とラブコールを送りました。両国は接近しているようにも見えますが、専門家によると思惑には3つのズレがあります。習主席の訪問はあるのでしょうか?

■ロシアの「期待」に対して中国は?

有働由美子キャスター
「今注目されているのが、中国の習近平国家主席です。プーチン大統領は、習主席のロシア訪問を『期待している』と、ロシアを訪れた中国の王毅政治局員に伝えました。中国とロシアが、ここに来て一気に接近しているという感じを受けます」

小栗泉・日本テレビ解説委員
「そう見えますが、中国に詳しい神田外語大学の興梠一郎教授は、『ロシアと中国の思惑にはズレがある』と分析しています」

「興梠教授によると、王毅氏の訪露の中で、ズレが大きく分けて3つあります。まず、王毅氏が会ったのは外交担当者だけではありませんでした。プーチン大統領自ら直々に会談して、もてなしました。ロシア側の期待感の大きさが見えます」

「次に、習主席のロシア訪問についてプーチン大統領は『期待している』と言ったのに対し、中国外交部の会談記録にはその記載がありません。つまり、行くとも行かないともコメントしていません」

「さらに、中国側の記録には『ウクライナ問題について深く意見交換した』とあるのに対し、ロシア側の記録には記載が全くありません。

■王毅氏「政治的解決へ建設的な役割」

小栗委員
「この3つのズレから、何が見えてきますか?」

有働キャスター
「ロシアはラブコールを送っているのに、中国側は態度がはっきりしない、つれない感じがします」

小栗委員
「そうですね。興梠教授によると中国は今も、欧米とロシア、双方に二股をかけています。もっと言うと、今回のウクライナ侵攻の調停役を演じたい、それによって中国の世界的なイメージを良くしたいと考えているといいます」

「実際、王毅氏はプーチン大統領に『中国はこれからも公正かつ客観的立場を堅持し、ウクライナ問題の政治的解決のために建設的な役割を果たす』と言っています」

■ロシア訪問は「今は前のめりでない」

有働キャスター
「プーチン大統領は『おいおい』と思ったのではないでしょうか。そうすると、習主席はロシアを訪問しないのでしょうか?」

小栗委員
「興梠教授は『ロシアと中国は、使ったり使われたりする関係なので、ロシア訪問のタイミングは今後の戦況や、アメリカの出方などを見ながら決めるだろう。ただ少なくとも、今は前のめりではない』と話しています」

廣瀬俊朗・元ラグビー日本代表キャプテン(「news zero」パートナー)
「中国は、ロシアが追い込まれているのを知っている中で、とてもしたたかだなと思いました。お互いの主張が食い違っていても全然気にせず、自国が伝えたいメッセージが明確で、よく準備されているなという印象を受けました」

有働キャスター
「各国の思惑がぶつかり合っていますが、一方で停戦や終戦への糸口は全く見当たらないまま、2月24日、ロシアのウクライナ侵攻から1年の日を迎えます」

(2月23日『news zero』より)