宇宙旅行が身近に!? 開発の最前線を取材
アメリカはいま、民間企業を活用した「次世代の宇宙開発」を一気に加速させている。遠い未来の話と思われていた宇宙旅行がぐっと身近に。開発の最前線を取材した。
◇
先月、フロリダ州の発射台には打ち上げ直前の宇宙船の姿が。民間企業ボーイングが開発中の最新鋭の宇宙船「スターライナー」だ。
このおよそ10日前。秘密のベールに包まれた宇宙船が報道陣に公開された。最大で7人乗れるという。
NASA(=アメリカ航空宇宙局)はいま、地球を周回しているISS(=国際宇宙ステーション)に人を運ぶ新たな宇宙船の開発をボーイングとスペースXという2つの民間企業に依頼している。
NASAが民間企業を活用する大きな理由は、競争原理による打ち上げコスト削減だ。
一方、民間企業2社は、開発した宇宙船を民間人の宇宙旅行にも活用する計画だ。
2社のうち、先に完成した宇宙船に最初に搭乗することが決まっている野口聡一宇宙飛行士は─。
野口聡一宇宙飛行士「宇宙観光旅行をする上で、プロの宇宙飛行士が乗っているかもしれないけど、人数を少なくして、その分、観光客を乗せたいと。そういう独自の宇宙事業を民間企業ができるようにしたいというのが(民間企業側の)大きな目標」
その思惑は、開発中の宇宙船の操縦席にも表れていた。スターライナーの操縦席を実物大で再現したシミュレーターを見ると、ボタンも少なく、非常にシンプルな作りとなっている。
野口聡一宇宙飛行士「次世代型(宇宙船)は、基本的にはスイッチを極力減らして、タッチパネルというか、マルチタスクディスプレーといいますか、昔の黒電話からスマホにかわったような、そういう変化があると思います」
そして先月20日、ボーイング社のスターライナーは、ついに無人での試験飛行にこぎ着けた。
2社とも、今年中に実際に宇宙飛行士を乗せての試験飛行を行い、宇宙船を完成させるとしている。
実現すれば、今後はさまざまな顧客が宇宙船の座席を購入し、国際宇宙ステーションに行くことが可能になる。
さらにNASAは、今年から国際宇宙ステーションを民間にも開放して、生産や広告活動などに利用させる計画を打ち出している。
NNNのインタビューに応じたNASAの長官は─。
NASA・ブライデンスタイン長官「2020年に、私たちは国際宇宙ステーションにビジネスとして人間の打ち上げを行うことになります。打ち上げられるのはアメリカ人であり、日本人なのです」
開発が急ピッチで進む民間企業による新型宇宙船。遠い未来の話だった宇宙旅行の実現が、いよいよ近づいてきている。