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プーチン大統領「支配下に置いた」宣言 …5月9日にマリウポリで戦勝パレード実施か

2022年4月21日 20:34

ロシアのプーチン大統領は21日、激戦が続いていたウクライナ南東部のマリウポリを巡り「支配下に置いた」と宣言しました。その上で、最後のとりでとなっていた製鉄所への攻撃を中止して、封鎖するよう指示しました。ロシア側は、ロシアの戦勝記念日にあたる5月9日に、マリウポリで戦勝パレードを行うとしています。

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21日、ロシアのプーチン大統領とショイグ国防相の会談の様子が映像で公開されました。

ショイグ国防相
「マリウポリ全体がロシア軍と『ドネツク人民共和国』の支配下にあります」

プーチン大統領
「提案されている工業地帯の襲撃は、不適切だと思います。中止するように命じます」

プーチン大統領は、ウクライナ南東のマリウポリにあるアゾフスタリ製鉄所の攻撃を中止するよう指示しました。

プーチン大統領
「ハエ一匹も出入りしないよう、施設を封鎖してください。マリウポリのような、南部にある重要な中心地を支配下に置くことは成功です。おめでとう」

プーチン大統領は「マリウポリの解放に関する作戦は成功した」と話し制圧を宣言した形です。製鉄所のウクライナ軍に対しては、改めて投降するよう呼びかけるということです。

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アゾフスタリ製鉄所を巡っては20日、製鉄所内にいるウクライナ軍の司令官が動画を投稿しました。

第36海兵旅団 ボリンスキー司令官
「これが世界に向けた私たちの人生最後の訴えになるかもしれない。あと数日間か数時間しか生きられないかもしれない」

10倍ものロシア軍に囲まれている厳しい現状を訴え、負傷した民間人を第三国へ移すよう求めました。

さらにボリンスキー司令官に日本テレビが接触したところ、音声でのメッセージが送られてきて、改めて、民間人などの安全な避難を求めました。

ボリンスキー司令官(日本時間午前7時ごろの音声)
「ここには500人以上、けがをしている兵士がいます。何百人の民間人がいます。戦うチャンスはもう私たちにはない。武器がありません」

ただ、ロイター通信によると、プーチン大統領に忠誠を誓うチェチェン共和国のカディロフ首長は「ロシア軍が21日に製鉄所を完全に支配下に置くだろう」との見方を示していました。

さらに、ロシア側は、ロシアの戦勝記念日にあたる5月9日に、マリウポリで戦勝パレードを行うとしています。

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さらに、ロシア軍はウクライナ東部でも攻勢を強めています。ウクライナの警察は、激しい攻撃が続く東部の町から避難してきた人たちの手助けをしている様子だという映像を公開しました。

警察官
「侵略者たちは、町から出る車列を砲撃している」

避難してきた人は「すべてが燃えている。すべて破壊されている、毎日のように」と話していました。東部の町では毎日、砲撃があり、地下室から出ることができない状態が続いているといいます。

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さらに、ロシアは日本時間20日午後9時すぎ、新型のICBM(=大陸間弾道ミサイル)「サルマト」の発射実験を行いました。

プーチン大統領
「暴力的な言葉で私たちの国を脅かそうとする者たちを再考させることになるでしょう」

ロシア国防省は「サルマト」について、「核弾頭搭載が可能で、射程は11000キロ以上と世界で最も長い」と説明しています。軍事力を誇示し、欧米諸国をけん制する狙いがあるとみられています。